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ご自身で書いて判を押すだけなので、最も手軽かつ費用もかかりません。しかしながら、その反面、その様式は法律上厳格に定められていて、それが守られていない場合、最悪遺言自体が無効になる、という危険性があります。また、遺言があることを誰かに伝えていないと、そもそも遺言書自体が発見されない、あるいは、たまたま発見した人に内容を見られ、自分に都合の悪い内容であれば、隠したり破棄されたりしてしまう、といったリスクもあるため、手軽な半面、信頼性は低いといえます。
自筆証書遺言は、費用もかからず、手軽に作成できる半面、法律に定められた様式を守らなければ、最悪遺言自体が無効となってしまうケースもあります。せっかく作った遺言が無効とならないように、以下の点に注意して下さい。
①必ず全文自筆で作成
遺言書の偽造を防ぐためです。
ほんの一部でも、他人の代筆やパソコン、ワープロなどでの作成があれば無効となります。
②財産は明確に記載して特定
口座や不動産を複数持っているような場合は、それぞれ明確に記載しなければ、特定が不十分になる可能性があります。
③必ず日付を記入
遺言書が複数ある場合、どれが最新のものかを判断するためです。
客観的に判断できるものでなくてはならないため、「平成●年●月吉日」といった書き方では無効となります。
④必ず署名・捺印
署名だけでなく、捺印も必ず必要です。できれば実印が好ましいでしょう。遺言書が複数ページにわたる場合は、ページごとに割印もしなければなりません。
⑤訂正しても署名・捺印
内容を変更したり、誤字を訂正した場合も、必ずその旨を付記し、署名捺印が必要です。
⑥作成後の保管
ご自身の死後、遺言書が存在することをご家族が知らない場合は、そもそも発見すらされないおそれがあります。ご家族の方(その中でも特に信頼できる方)には、遺言書の保管場所を伝えておきましょう。
⑦封筒に入れて封印
他人に改ざんされないように、封筒に入れて封をして、押印した印鑑で封印をしましょう。何の封筒か分かるように、表書には「遺言書」と記載し、裏面にも署名捺印しましょう。また、発見した家族が勝手に封を開けないように、「開封せずに家庭裁判所に提出するように」と注意書きをしておきましょう。
発見された遺言書は、封をしたまま家庭裁判所に提出して、検認という手続を受けなければなりません。検認を受けていない遺言書は、相続関係手続に用いることはできません。実際に検認手続をしたことがある方などは極めて少ないでしょうから、慣れない手続きで相続人に負担をかけることになります。
なお、相続人以外(お世話になった知人、面倒を見てくれた友人など)に財産を遺贈する、という内容の自筆証書遺言を遺した場合、検認手続の際には、結局相続人を特定して呼び出さなければならず、そのための戸籍収集が非常に煩雑になる危険性があります。
→詳しくは、ちょっと役に立つ法律の話「自筆証書遺言の落とし穴」へ
どうですか?手軽に作成できる、といっても、実はあれこれと大変ですし、安全性は必ずしも高いとは言えません。あいまいな記載の遺言書は、かえって相続人間の争いのもとにもなりかねませんので、注意が必要です。