ふるさと納税のお話④

前回は、ふるさと納税における所得税のメリットについて説明しました。

 

所得税の計算においては、「寄付した額-2000円」を課税所得計算の際に控除することで、最終的には所得税が「(寄付した額-2000円)×所得税率(5%~45%)」分安くなりますよ、という、ちょっと間接的なメリットでした。

 

これに対し、住民税の方では、もっと直接的なメリットがあります。
②住民税のメリット
実はふるさと納税の大きなメリットは、所得税よりも住民税の方にあります。「ふるさと納税で納めた(寄付をした)金額-2000円」の大部分を、翌年の住民税から丸々差し引くことができるのです。

 

前回の住民税の計算方法を簡単に振り返ってみると、

 
①収入-経費=所得

 

所得-各種控除=課税所得

 

課税所得×10%=住民税

 
というものでした。
この中で、ふるさと納税で納めた金額は、その大半を住民税から直接差し引くことができます。つまり、ふるさと納税で納めた分、ほぼそっくりそのまま住民税の額から差し引くことができる、というものです。
ここで、「その大半」とか「ほぼそっくりそのまま」という、若干微妙な表現をしているのは、「所得税の方でメリットがあった部分(前回の例でいう寄付額5万円-2000円の10%、つまり4800円)を除いた部分」を差し引けるというシステムだからです。

 

(例)
(ふるさと納税前の)課税所得が250万円のAさん
250万円(課税所得)×10%(課税所得税額に応じた税率)=25万円(住民税額)

Aさんは、何もしなければ25万円の住民税を払わなければなりません。
この場合、Aさんが5万円ふるさと納税すると、「(ふるさと納税分-2000円)×90%」を住民税から差し引くことで、住民税は

 

25万円-4万3200円=20万6800円

となります。4万3200円分、納める住民税が少なくなるのです。

 

所得税が4800円安くなり、住民税が4万3200円安くなれば、トータルでは4万8000円分丸々税金が安くなることになります。
所得税のメリットとしては、計算途中の所得税から差し引くことができる「所得控除」であるのに対し、住民税のメリットとしては、最終的に納める住民税額から差し引くことができる「税額控除」であり、こちらの方がイメージはしやすく、また、差し引ける額も大きいといえます。
ただし、気を付けなければならないのは、住民税の税額控除は、住民税額の20%という上限がある、とうことです。

 

つまり、

 

「来年住民税が10万円きそうだから、10万円分ふるさと納税すれば、住民税はほとんど納めなくていい!それで10万円分お礼の品がもらえればお得!!」

 

とはならないわけです。
住民税が10万円であれば、ふるさと納税による住民税額控除は2万円が上限です

つまり、前回からの例でいくと、所得税率が10%の範囲内(課税所得が195万円~330万円)の人であれば、
「寄付した額-2000円」のうち、10%分は所得税が下げられ、90%分は住民税が下げられますよ(合計すると、「寄付した額-2000円」の全額分税金下がりますよ)。ただし、住民税の控除は、住民税の2割という上限があるから気を付けてね、ということです。
結果的には、 何もしなくても翌年に払わなければならない税金(所得税、住民税)のうち、「寄付した額-2000円」分は差し引きましょう、とるわけです。

 

そして、ふるさと納税にはいろいろなお礼の品が用意されていることが多いので、

 

何もしなければ普通に税金払って終わり。

  ↓しかし、

ふるさと納税しておけば、「その額-2000円」は税金払わなくていい。
  +
お礼の品ももらえる。

  ↓つまり、

実質2000円でお礼の品がもらえる。

 

という図式が出来上がるわけです。
そうは言っても結局いくら寄付すればいいのかよくわからない、という方は、「来年請求がくるであろう住民税額(課税所得×10%)の約2割」ぐらいをめどに寄付されてみてはどうかと思います。それであれば、控除の上限を超えてあまりメリットがなかった、ということもないかと思います。

 
長々と書かせて頂いたふるさと納税シリーズはこれで終わりです。

 

若干事例や税率を単純化している部分はありますが、絶望的に間違っているということはないかと思いますので、ご興味がある方は参考にして頂ければと思います。

 

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