倉敷市真備町にて②

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部屋の中にはガラスや割れ物、釘なども散乱しているため、作業中は必ず長袖長ズボンに長靴、厚手の手袋が欠かせません。この服装で外に立っているだけで、ものの数分で汗だくです。

作業に入れば、あっという間に汗と泥水とで全身びしょ濡れの状態になりますが、そんなことを気にしていては何もできません。汗で湿った防塵マスクは、通気性が著しく低下し、サウナのような室内では、一歩間違えれば酸欠を起こしそうになります。

こういった様々な要因と闘いながら作業を進めていくうちに、家の前の庭、道路の脇はあっという間にゴミだらけになっていきます。

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一応、近隣の学校や多目的施設のグラウンドなどが、臨時のごみ集積場になってはいるのですが、そもそも近隣宅含め、自宅に停めてあった車のほぼ全てが水没により使用不能のため、そこまで運ぶ手段のない家がほとんどです。

 

身内や友人の方が軽トラなどで応援に駆けつけてくれている家は、自分たちでゴミを運んでいくことも可能ですが、それらの車で集積場への道路が大渋滞しているため、何もなければものの5分で往復できるグラウンドまで、1往復するのに1時間以上かかるなんてこともざらです。

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集積場での荷降ろしを考えると、2~3人の人手が必要で、それがゴミ出しで1時間も2時間も帰って来られないとなると、家の作業が進みません。そのため、人手と手段(トラック等)が間に合っている家でなければ、集積場へのゴミ出しすら不可能です。

そうなると、ほとんどの家は、自宅前の道路脇などに、通行の妨げにならないようにゴミを出していくしかないのです。

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※一部のテレビ報道で、「誰かが勝手に道路の脇にゴミを捨てたので、他の人は捨てても良いと勘違いしてどんどん捨てた結果、ゴミの山が出来上がった」といったような放送がなされていましたが、自宅前や道路脇の通行の妨げにならない場所へのゴミ出しは、自治体が推奨しています(避難所で確認済み)し、何より他に方法がありません。これらの自宅前のゴミは、自治体若しくは委託業者が回収してくれます。

幸いなことに、親戚宅はある程度の人手も確保できたため、3連休でかなり片付けは進みました。ただ、あくまで「家の中の物の運び出しが終わった」程度で、とてもまだまだ人が住めるような状況ではありません。

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※作業前                  ※作業後

 

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※作業前                  ※作業後

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※大広間(作業後)             ※台所(作業後)

また、近隣には明らかに作業の進んでいない家や、進みが遅そうな家も数多く見受けられました。

真備町自体、最近になって若い人の移住も少しずつ進んでいるようですが、もともとは高齢の方々の多い地域ですので、フットワークの軽い身内や友人の数も少ないという方もたくさんいらっしゃると思います。今現地で必要なものは、モノでもお金でもなくとにかく人手だと、強く感じました。

 

神戸から手伝いに駆けつけたことで、親戚の方からはお礼の言葉なども頂きましたが、所詮こちらはやれることだけやって切り上げて帰宅すれば終わりなわけですから、気楽なものです。

 

これからもそこで生活を続けていかなければならない方々の苦労や大変さや、高齢で、ともすれば終の棲家と思っていた住み慣れた家で被害に遭われてしまった方々の心情を察すると、言葉が出ない思いです。

 

今回の水害は、復旧にはおそらく年単位の時間が必要になるのではないかと思います。阪神大震災、東日本大震災と並んで、間違いなく平成の大災害と言えるものだと思います。

 

2つの地震と比べると(そもそも比較するものでもないかもしれませんが)、被害者の方の数や被災エリアは小規模かもしれませんし、神戸のような、物流の要点というわけでもないため、ともすれば、時間の経過とともに忘れ去られてしまわないかが心配です。

 

今後も、可能な限り時間を作って現地に赴き、少しでも何かの手伝いを継続できればと考えています。

倉敷市真備町にて①

連日ニュースでは7月の西日本豪雨災害の報道が続いています。発生から10日が経過しましたが、いまだ行方不明者の数は2桁にのぼっており、その被害の大きさは想像を絶するものとなってしまいました。

かくいう僕の地元も岡山県で、広島と並んで、非常に被害の大きな地域でした。特に倉敷市真備町は、川の氾濫、堤防の決壊による浸水被害が凄まじかったのですが、実は祖母の地元が真備町ということもあって、親戚宅がもろに被害を受けていました。

幸いなことに、身内で亡くなった方はいなかったのですが、親戚宅は完全に水没し、家具・家財・自動車等は全滅でした。そのため、先週の水曜日と3連休の計4日間、少しでも何かの役に立てればと思い、被災地である真備町に行ってきました。

ニュースで映像を見てはいましたが、やはり現地で直接目で見た時の衝撃は、言葉では言い表せないほどでした。

 

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にわかには信じがたいですが、近隣数千世帯がほぼ完全に水没してしまったため、室内の家具、家電、家財道具や衣類、食料品、生活雑貨、畳、壁紙に至るまで、ありとあらゆるものが使用不能の災害ゴミと化してしまい、家の中にはこれらが散乱し、さらに床には外からの土砂や、昔ながらの土壁が剥がれて泥のようになったものが堆積しているという状況でした。

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床に溜まった泥を掻き出さないことには、室内のドアすら開きません。

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箪笥や棚などの大型家具は、ほぼすべてが隙間に泥が詰まり、建付けもおかしくなっており、引き出しがびくともしない状態です。中にモノが詰まったままでは、とてもではないですが運べる重さではないので、バールと金槌で引き出しを1つずつ破壊してこじ開け、中のモノを出した上で、大人数人がかりで運び出します。

 

さらに、衣類や布団、畳などの吸水性のあるものは、汚水・下水の混ざった泥水を吸収し、凄まじい重さとなっているのに加え、当然ながら臭いもひどく、外に運び出すだけでも容易ではありません。

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壊れた冷蔵庫の中の物や、備蓄してあった米などは悉く腐敗し、台所には、マスクなしでは立ち入れないほどの異臭が立ち込めています。

これらの作業だけでも大変な重労働なのですが、加えてこの暑さです。

現在ではわかりませんが、電気はもちろん、水道すら復旧しないような状況でしたので、室内には、エアコンはもとより扇風機すらありません。

炎天下の庭と、サウナのような室内をひたすら往復しながらの作業は、これまでの人生で最も過酷であったといっても過言ではないと思います。

 

続きます