法律扶助を利用して自己破産

先日、自己破産の申立の依頼を受けていた件で、無事裁判所から免責決定の通知が届きました。

IMG_3559

 

 

 

 

 

 

 
この方は、10年以上前に消費者金融数社から借金をし、その後諸々の事情で返済が困難になり、転居を繰り返すうちにいつしか督促もあまり来なくなったため、ついそのまま放置してしまったという方でした。

 

ご本人様は持病もあり、就労は困難な状況で、現在は生活保護を受給しています。
同居していたお父様が亡くなり、1人暮らしになった後、債権回収業者から、以前の借金の取り立て通知が届くようになり、ご相談に来られました。
督促が届いていた業者と、その他ご本人様の記憶を頼りにいくつかの業者に受任通知を発送し、債権調査を行ったところ、いくつかの業者はすでに消滅時効が完成していましたが、2社ほどは裁判を起こされており、時効を援用することができない状況でした。
2社とはいえ、延滞していた期間の利息・損害金も上乗せされて、とても返済できるような金額ではありませんでした。
(というよりも、生活保護受給中の方は、生活保護費を借金の返済に充てることは禁止されています。)

 
消滅時効援用が可能な業者については、その旨の内容証明郵便で片を付け、2社については自己破産申立を進めることとなりました。当然、当方の手続き費用については、法テラスの法律扶助制度を利用しました。
※法律扶助制度とは・・・
一定の収入要件(収入が一定基準以下)をクリアしている方については、法テラスが専門家の相談料や手続き費用を立替えて負担してくれます。あくまで立替えですので、後日可能な範囲(月数千円程度)で分割で支払う必要がありますが、手続き終了時点で生活保護受給中の方は、申請により分割払い自体を免除してもらうことが可能です。

 
正直なところ、法律扶助制度を利用した場合に、法テラスから専門家に支払われる報酬は、相場よりもかなり低いと思われる額です。また、法テラスに対しての業務報告なども求められるため、通常業務プラス報告業務ということで、作業量は増えることがほとんどです。そのため、中には法律扶助を利用した業務の受任に消極的な専門家も存在するのが実情です。

 

 

今回のケースでは、受任直前は返済に追われていたわけではないので、自転車操業にもなっておらず、家計状況が把握しやすいこと、生活保護受給中ということもあって、目立った財産が存在しないこと、かかりつけ医から就労困難との診断書も容易に取得できたことなどから、かなり早い時期に申立を行うことができ、無事免責となりました。
ご本人様にしてみれば、受任以前も借金の返済に追われていたという実感はないことから、ただちに生活が改善したということはないかもしれませんが、今後は督促の連絡やハガキが来ることがないかと思うと安心できます、とおっしゃっていました。

 

督促が来ないからと言って、以前の借金をそのままにしておくと、忘れた頃に督促状が届くという可能性はあります。

※すでに時効期間が経過していたとしても、借り手から時効である旨を主張しない限り、請求・督促を行うこと自体は違法ではありません!
中には、それがきかっけで同居のご家族にバレてしまった、という方もいらっしゃいます。
心当たりの方は、1度専門家へご相談してみることをお勧めします。

 

メールボタン2