DESによる増資

先日、何度か登記のご依頼を頂いている会社から、DESによる増資のご相談を頂きました。

 

●DESとは?
デット・エクイティ・スワップの略で、Debt(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)することをいいます。
つまり、会社にとっての債務(借金・負債)を株式に振り替えることで、債務超過を解消させたり、負債を削減することができます。

 
●DESのメリット
(会社側のメリット)
会社の負債を減らす(=株式に転換する)ことにより、財務体質を強化・改善することができます。
実際にキャッシュが増加するわけではありませんが、借入金を返済する必要がなくなり、利息負担も消滅します。

 

(債権者側のメリット)
会社の株式を取得することで、新たに株主として経営に参画することができます。また、将来企業価値が高まれば、保有株式は、従前の債権以上の価値を持つ可能性もあります。

 
●DESのデメリット
(会社側のデメリット)
従前の債権者が、今後は株主として影響力を持つことになります。また、これにより、従前の株式保有利率も変動することになるので、過半数株主が過半数を割り込む可能性等があります。
また、手続き自体に税金(増資に伴う登録免許税等)や登記費用が必要になります。
(債権者側のデメリット)
当然ですが、従前の貸付金は消滅するため、会社に対して返済を求めることはできません。また、将来会社が傾くような事態になれば、事実上株式の価値がほとんどなくなってしまう可能性もあります。

 
●DESの手続き
債権者が、保有する債権を金銭の代わりに現物で出資し、その分新たに株式を引き受ける、いわゆる現物出資によるのが一般的です。
今回のケースでは、役員の方がこれまでに会社に対して貸し付けてきた短期借入金(の一部)を現物出資することで、新に株式を発行するというものでした。

 

この場合、原則的には、貸付金の存在を明らかにするために、今までの貸付を証明する書類(帳簿や契約書類、総勘定元帳など)を提出することになります。しかし、貸付金は1度に貸し付けたものではなく、数年にわたって何度も行われたものであって、その都度契約書なども作成していません。

 

そこで、あらためて会社と役員の方とで債務承認契約を結んで頂き、現時点でいくらの債権債務があるのかを整理した上で、税理士の先生の証明書も添付して登記申請を行いました。

 

これにより、過去の帳簿や総勘定元帳などを提出する必要がなくなります。
上記で登記も無事に問題なく完了しました。

 
上手く利用すれば、会社のキャッシュアウトを抑え、債務体質を改善することができる手続きですので、DESをご検討の方はぜひ1度専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか?

 

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