立て続けに相続放棄?


今回は相続放棄のお話です。

 

亡くなられた方に生前借金があった場合は、借金の支払い義務も相続されるため、相続人の方には借金の支払い義務が発生します。家庭裁判所で、相続放棄の手続きをとれば、これらの借金についての支払い義務はなくなります。

 

ただし、場合によっては、相続放棄をすることによって、繰り上がりで別の方が相続人となる場合があります(というよりも、多くの場合、そうなってしまいます)。
さらに、その繰り上がりで相続人となった方が、相続放棄の手続きをする前に亡くなられた場合、もともとの借金の支払い義務が、再度舞い込んでくる可能性があるので注意が必要です。

 
今回ご相談頂いたケースは、まさに上記のような事案でした。

 
(事案内容)
・亡くなられた方:Aさん(夫)
・当初の相続人:Aさんの妻Bさん、Aさんの子C

 

①Aさんの死亡後、Bさん及びCが相続放棄

②①の相続放棄により、繰り上がりでAさんの父親であるDさんが相続人に

③Dさんが相続放棄をすることなく死亡

④再度Cが相続人になり、再び相続放棄手続きが必要に

 
これは、相続に関する下記の2つの大きなポイントが重なったために発生した事案でした。

 

(1)相続放棄による繰り上がり相続
基本的に、亡くなられた方に子ども(養子含む)がいる場合、子どもは必ず相続人となります。
しかし、その子どもが全員相続放棄をした場合、今度は亡くなった方の親が繰り上がりで相続人となります。
※両親ともに先に亡くなっている場合は、きょうだいが相続人となります。

 

(2)代襲相続
亡くなった方に子ども及び孫がいて、子どもの方が先に亡くなっている場合は、その子どもが相続するはずだった権利義務は、代わりに孫が相続します。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。
上記の事案のように、先に父親の相続を放棄していたとしても、祖父の代襲相続人になります
※父親の妻(上記の例でいうBさん)は代襲相続人にはなりません。

 
これにより、今回のケースでは、Cさんは短期間に、同じ借金のために、2度も相続放棄の手続きをとらなければならなくなりました。
Dさんが亡くなる前に相続放棄をしてもらっていれば、このようなことにはならなかったのですが・・・

 
相続放棄の手続きにおいては、ほとんどの場合において、放棄することによって代わりに相続人となる方が存在します。
事案のようなことがないよう、可能であれば、その方々にも連絡を取って、必要に応じて相続放棄の手続きをおこなって頂くことをお勧め致します。

 

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