消滅時効を認めない業者②

年が明けてバタバタとしているうちに、あっという間に時間が経ってしまいました…

 

前回の記事で、消滅時効援用を認めない業者について書いていましたが、進展があったので書かせて頂きます。

 

その後、念のため取引履歴を取り寄せたところ、やはり最終取引日は2002年(平成14年)であり、その後の返済記録はありません。5年どころか、10年以上経過している計算になります。

 

さっそく業者に連絡して確認したところ、やはり債務名義の取得等の時効中断事由もないとのこと。それであれば時効援用を認めるべきなのですが、そこは前回と同様、

 

・本人が転居を繰り返した

・督促をしたくてもできなかった

・転居の旨の連絡もなく、誠意が感じられない

 

ことなどを理由に、時効援用は認めないの一点張りでした。
※いずれも、法律的には全く認められない主張です。

 

ご本人とは、債務不存在確認訴訟も視野に入れて話し合いをしていたのですが、それに先立って、業者に最後通帳のために連絡を入れました。後日訴訟において、業者の言い分を立証するためにも、会話内容は録音していることを相手に告げた上で、業者側の主張をはっきりと根拠を示して述べてほしいと伝えました。

 

10分以上話していましたが、結局法的根拠が示せないまま、会社として最終的な回答をするので時間がほしい、とされました。話の感触的に、これは一転して時効を認めるのではないかなと思っていたところ、つい先ほど連絡が。

 

「社内で検討した結果、今回は時効援用を認め、信用情報も、10日の時点で既に削除要請を出しておきました。」
とのこと。

 

当然と言えば当然の結果なのですが、最悪提訴も考えていただけに、ほっとする結末となりました。

 

また、信用情報も直ちに削除してくれたようで(どうも時効援用したからといって、通常は延滞情報がすぐに消えるわけではない、ということです)、この点については期待していた以上の対応です。こちらとしても何の異論もありません。

 

初めからこのような対応をしてくれていれば、こちらとしては何の文句もなかったわけですが…

 

なにはともあれ、提訴に至ることなく解決できてご本人にも良い報告ができそうです。
やれば勝てるとわかっている裁判でも、費用負担とかかる時間を考えると、しないですむにこしたことはないですから…

 

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消滅時効を認めない業者

先日ご依頼頂いていた件で、とある貸金業者に時効援用の内容証明郵便を送りました。

 

依頼者はもう10年以上一切返済をしておらず、信用情報を取得したところ、この業者が「延滞」情報を登録したままで、約定返済日は平成14年10月となっていました。

 
本人の記憶では、その間に訴訟提起されたこともないとのことから、おそらく消滅時効の援用が可能である旨説明し、当方からその旨の内容証明を送っていたところ、下記のような電話がかかってきました。

 

 

業者「先日先生から時効援用の内容証明を頂いていましたが、当社としては、この方を時効で処理はできません。」

 

私「?? というと?債務名義取得してるんですか?」

 

業者「いえ、それはありません。ただ、この方は過去、延滞後にこちらから連絡しても電話も一切出て頂けてなく、住所も転々としていたようです。」

 

私「そうかもしれませんね。で?」

 

業者「中には住民票を移転させず、居所を移していたこともあって、当方は本人に請求しようにもできなかったんです。よって、居所不明の期間があるので時効は認めません。」

 

私「?? おっしゃる意味がわかりません。」

 

業者「ですから、当方はなんとか連絡をとろうと努力した形跡があります。それでも本人が行方をくらますという悪質な対応のために、請求も回収もできなかったのです。だから、時効の援用は認めませんし、信用情報も削除するつもりはありません。」

 

私「??? いやいやいや、住所わかってたんならそもそも訴訟打てるでしょ?それやってないんでしょ?公示送達って知っていますか?おたくもプロなら、時効かかる前にやれることあったでしょ?それすらやらずに何言ってるんですか?」

 

業者「先生のおっしゃることはわかりますが、当方の主張は先ほど述べたとおりです。」

 

私「(意味不明・・・何言ってんだこいつ)居所不明だからと言って、時効が進行しないなどという法律はありませんよ?提訴しようと思えばできたはずでしょ?」

 

業者「こちらも私がずっと担当していたわけじゃありませんので。担当が変わったりする中で、それでも本人さんに連絡しようとした形跡はありますので。」

 

私「担当がどうとかはそちらの勝手な都合でしょ?本件には何の関係もないですね。」

 

業者「とにかく、本件についての時効は認めません。」

 

私「だったら今から回収のために提訴でもしてきますか?」

 

業者「本件を提訴するかどうかは社内で検討してから判断します。」

 

その後しばらく話しましたが、結局意味不明な主張を繰り返すばかりで、時効援用は認めないので信用情報も削除しないとのこと。

 

そもそも業者の言う、「居所不明だから時効が進行しない」という主張には何の根拠もありません(法律知ってんの?というレベルです)。

 

※よくTVドラマなんかで、「海外に逃亡している間は時効が進行しない」というエピソードが出てきますが、あれは刑事事件に限った話で、民事事件の場合、海外にいようが住所がわからなかろうが、時効は進行します

 
居所不明の相手に対しても、訴訟を提起することは可能ですし、それで勝訴判決をとっていれば、誰の目から見ても時効の中断は明らかです。それをやらずにおいて、意味不明な根拠で時効消滅を認めないなど、もはや言っていることはろくでもない悪質業者と一緒です。挙句の果てには感情的になってガチャ切りに近い形で受話器を置く始末。これがいまだに銀行グループを謳って「●ー●ー●」などというブランドで大々的に貸付を行っている大手業者の対応だというのですから、呆れてものも言えません。

 

本当に権利が消滅していないと思うのであれば、社内で検討も何も、すぐに提訴してくればいいのです。それに含みを持たせているのは、結局提訴したところで、こちらが時効援用すれば勝ち目がないのがわかっているからです(というか、法律をある程度知っていれば普通はわかります)。

 

にもかかわらず、時効援用を認めない、などと言ってくるのは、ただの嫌がらせとしか思えません。いずれにしても、信用ある業者のすることではないです。

 

こんな意味不明な主張を認めるわけにはいきません。いずれ債務不存在確認と、信用情報誤記載についての損害賠償請求を併せて訴訟提起することになるでしょう。
信用情報機関への登録内容については、「加盟会社は信用情報機関に当該利用者の信用情報を提供するに当たり,利用者との間のクレジット契約に付随して,信義則上,正確を期し,誤った情報を提供する等して,当該利用者の信用を毀損しないよう配慮すべき義務があり,この義務に違反すれば,債務不履行責任を負う」とする裁判例が存在します。

 

 

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