個人再生の管轄について②

さて、前回に引き続き個人再生事件の管轄についてのお話です。

 

個人再生の申立管轄については、サラリーマンの方であれば、原則は普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所とされています。

 

そして、普通裁判籍は住所により定めるとされています。

 
問題は、ここでいう「住所」とは、必ずしも住民登録のある地(住民票上の住所)とは限らず、各人の「生活の本拠」をその者の住所とする、と定められていることです(民法第22条)。

 
「生活の本拠」という言い方自体が抽象的で、なにをもって「生活の本拠」というのか、正直よくわかりません。過去の判例にあたってみたところ、いくつかこの部分が争点となったものがありました。

 
【最高裁判所昭和29年10月20日大法廷判決】
およそ法令において人の住所につき法律上の効果を規定している場合,反対の解釈をすべき特段の事由のない限り,その住所とは、各人の生活の本拠を指すものと解するのが相当」

 
【最高裁判所昭和35年3月22日第三小法定判決】
「生活の本拠とは,その者の生活に最も関係の深い一般的生活,全生活の中心を指すものである。
公職選挙法及び地方自治法が住所を選挙権の要件としているのは,一定期間,一の地方公共団体の区域内に住所を持つ者に対し当該地方公共団体の政治に参与する権利を与えるためであつて,その趣旨から考えても,選挙権の要件としての住所は,その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活,全生活の中心をもつてその者の住所と解すべき」

 
【最高裁判所昭和27年4月15日第三小法定判決】
「一定の場所が生活の本拠に当たるか否かは,住居,職業,生計を一にする配偶者その他の親族の存否,資産の所在等の客観的事実に,居住者の言動等により外部から客観的に認識することができる居住者の居住意思を総合して判断するのが相当である。なお,特定の場所を特定人の住所と判断するについては,その者が間断なくその場所に居住することを要するものではなく,単に滞在日数が多いかどうかによってのみ判断すべきものでもない。」

 

結局は、「生活の本拠」とは、各個人の生活の事情によって異なるといえそうで、画一的かつ明確な解釈は存在しておらず、多角的な事情や観点を考慮して判断すべきではないかと思われます

 

そのため、ご本人様にもすべて状況を説明し、打ち合わせをふまえた上で、ご本人様の意見を意見書という形で裁判所に提出しました。

 

 

その結果、今回の事案は神戸で審理を進めてもらえるとの回答を頂きました!!!

 

 

 

……いや、まぁ、そもそも当初の予定通り受け付けてくれたというだけで、何も手続きが終わったわけではないのですが、予想外のところでつまづきそうであったため、この連絡には本当に安堵しました。

 
今後、裁判所から追加の指示等があるかと思いますので、引き続きご本人様と二人三脚で、認可決定をもらえるように頑張っていきます!!

 

 

メールボタン2

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>