被告代理人として出廷

先日、数年間の延滞の末、債権者から支払督促を申し立てられた事件の代理人として出廷してきました。

 

原告側は社内担当者の方が出廷してきていましたので、別室で司法委員を交えての話し合いとなりました。こちらとしては、請求自体には争う余地がないため、あとは被告の現状を説明した腕、なんとか分割払いに応じてもらうしかありません。

 

当初は、延滞が長期に及んでいること、その間債権者からの連絡にも一切応じず、借り手としての誠意が感じられなかったことなどを理由に、なかなかこちらの希望する案に応じてもらえませんでした。今回は本人の勤務先も知られているため、いざとなれば給与差押えが可能という点においても、こちらには不利な状況でした。
月々の返済額を上げることや、初回に頭金としてある程度まとまった金額を支払うことなどを主張されましたが、被告の現状を考えるといずれも現実的ではありません。こちらとしても、どう頑張っても無理な内容で和解するわけにもいきません。

 

本人の生活状況や家計の状況、勤務先での立場なども説明し(もちろん、本人からは、あらかじめ債権者に伝えても構わないという了承を得ています)、最終的にはこちらの希望通りに近い内容で合意してもらいました。さすがに遅延損害金まで全額カットというわけにはいきませんでしたが、この部分についても温情は見せてもらうことができました。
今回合意した内容は、裁判所での和解になりますので、今後万が一延滞等があれば、即差押えをされる可能性があります。そのあたりのことをご本人様には重々説明し、納得して頂きました。あとは、ご本人様が今度こそ遅れることなく支払っていってくれることを祈るのみです。
貸金業者も、本人が憎くて裁判をやっているわけではなく、こちらがある程度誠意を見せれば応じてくれる可能性はあると思います。ただ、その際にも、過去の事情次第(返済できないからと、一切の連絡を無視して放置するなど)では、交渉が難航するケースも少なくありません。

 

返済が苦しいと感じ始めたら、現実から目を背けるのではなく、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。

 

メールボタン2

支払督促と過払い

2年ほど前に前事務所で手続きをされた依頼者が、債権回収業者からの支払督促を持ってこられました。

 

見ると、数年前まで利用していたクレジットカードについて、完済に至らずに放置していた様子。キャッシングとショッピング利用分で合計すると、元金が約60万円、支払っていなかった期間の利息・遅延損害金が約40万円で、合計100万円程度の請求になっています。しかも、最後に支払ってから5年は経過していないため、別件のように時効を援用して終わりというわけにもいきません。

 

以前に手続をされた時点では、すでに支払を辞めて2年ほど経過しており、督促も来ていないからということで、この件については申告していなかったというのです(それもそれで困ったものですが…)。

 

この方は、以前に債務整理手続きを経験済みのため、今回の件についても、

 

これ、キャッシングでも使っとったから、過払いでなんぼか減るんやろ?

 

とのこと。

 

たしかに、クレジットカード会社の多くは、キャッシング取引について、平成20年前後までは、20%以上の金利を設定していたため、それ以前にキャッシング取引がある方については、過払い金が発生する可能性はあります。そのため、利息制限法で引き直せば、本人が認識している借金額よりもかなり少なくなるケースはたくさんあります。

 

しかしながら、今回はすでに債権回収会社(サービサー)に譲渡されており、しかも支払督促(≒裁判)までされています

 

裁判所は、基本的には利息制限法の制限利率を上回る利息での貸付について、利息制限法に引き直し計算をした上での残金の請求しか認めていません。つまり、裁判を起こされたということは、すでに引き直し計算はされているということなのです。

 

また、債権回収会社は、(それらしい名前を騙るヤミ金まがいの詐欺会社を除き)法務省の許可がないと営業ができません。
※法務省が営業許可した債権回収会社の一覧はコチラ(法務省HP)。

 

そして、これらのサービサーは「債権管理回収業に関する特別措置法」という法律に従って業務を行わなければならず、その18条において、「利息制限法に定める制限額を超える利息・賠償額の支払いの約定がなされている債権について,利息制限法の制限額内に引き直さずに履行の要求を行うことの禁止」を定めています。

 

つまり、今回のケースに当てはめると、裁判を起こされている時点、もっと言えば、適法なサービサーに譲渡されている時点で、すでに引き直し計算をされた上での残額部分を請求されているということなのです。

 

したがって、今回の請求額が、引き直し計算によって減額されるということはありません。というよりも、すでに減額されて、それでもなお利息損害金込みで約100万円の支払義務があるということなのです。

 

この説明に、依頼者も落胆したようですが、少なくとも借りたことは事実なので、なんとか分割で払っていきたいとのこと。

 

それであれば、急いで支払督促異議申立をしなければなりません。2週間の期限が迫っておりましたので、早急に委任を頂き、ひとまず裁判所に支払督促異議申立書を提出しました。

 

これで通常裁判に移行することになりますが、訴訟代理も含めての依頼でしたので、当方が代わりにに裁判所に行って交渉可能です。通常訴訟期日までにはまだ時間がありますので、当日までに、依頼者の家計状況を精査して、現実的かつ誠意ある内容の和解案をもって債権者との交渉に臨みたいと思います。

 

※支払督促や裁判所からの訴状は、仮に大昔の借金であっても、放置すれば相手の言い分を全て認めたことになってしまい、後から争ったり交渉したりというのが難しくなる可能性があります。これらが届いた場合には、早急に専門家にご相談されることをお勧めします。

メールボタン2