債権譲受人からの請求

「聞いたこともない業者から、昔の借金の請求が来たんです!」
最近このようなご相談を頂くことが増えています。

先日ご相談に来られた方も、このような書面を持ってこられました。
※一部マスキングしています。

 

債権譲受通知書

 

 

 

 

 

 

 

 

届いたのはこの書面だけかを尋ねると、これだけですとのこと。
こちらの書面、一見すると取立や差押えといった、一般の方からすると恐ろしげな言葉が並んでいますが、我々からするとちょっと「??」な内容です。
まず、債権譲渡という法律行為についてですが、これ自体は、債権「譲渡人」(権利を譲渡した人)から通知をしなければ効力は発生しません。
にもかかわらず、この通知は債権「譲受人からのみの通知になっており、しかも、相談者の方曰く、これ以外に通知は届いていないとのことなので、そもそも債権譲渡の効力は生じていないことになります。
この点について詳しく解説します。

債権譲渡人
もともとその債権(権利)を有していた人。
一般的には、当初お金を借りた直接の相手方であることが多い。
譲渡によって債権者が変わると、「原債権者」(=もともとの債権者)といったような表現もされる。
債権譲受人
漢字が似てるのでまぎらわしいですが・・・
債権譲渡人から債権(権利)を譲り受けた人。
一般的には、債権回収会社などであることが多い。
本来の支払いができなくなったような案件を、まとめて安くで買い取って、回収業務を行うようなケースが多い。

 
(例)
(借主)がから100万円を、毎月1万円ずつ返済する約束で借りていた場合
※ややこしいので、ここでは利息は考えないものとします。

は、最初の1年は約束通り支払っていましたが、その後支払いができなくなりました。
この時点での借入残高は、100万円-12万円(1年分)=88万円です。

は何度も催促しましたが、は支払ってくれません。
それでもなんとかお金が欲しいは、この「から88万円返してもらえる権利」(=債権)を、に50万円で譲ることとしました。

としては、このまま1円も返してもらえないぐらいなら、50万円でももらえた方が良い、という判断です。
他方、としては、88万円の権利を50万円で手に入れたのですから、なんとかから50万円以上回収できれば儲けが出ます。

この場合、

債権譲渡人
債権譲受人

となります。

そしてこのケースでは、必ずからに対して、

「権利はに譲ったから、今後はに対して支払ってね」

という通知をしなければなりません。

から、

の権利を譲り受けたから、今後は自分に対して支払え」

という通知だけでは意味がないのです。

なぜならば、譲り受けた側からだけでの通知では、それが事実かどうかわからないからです。

上の例で、突然が出てきて、と同様、自分に払えと言ってきたら、からすると、わけがわからなくなってしまいます。

そのため、必ずもとの権利者であるから、誰に譲渡したのかを通知しなければならないことになっているのです。
翻って今回の通知を見ると、下部に「原債権者」として、もともと借りた会社名が記載されているものの、この通知の差出人は債権譲受人のみなので、これだけでは効力はありません。

 

また、文章の内容も、そもそも日本語としてオカシイ部分もあります。

「冠省 この度、弊社は、下記の原債権者が貴方様に貸し付けた。
金銭貸付債権の・・・」

など。

 

おそらく似たような書面を多数の方に送っていると思われますが、正直「???」といった感じです。

 

しかし、下部に記載された原債権者の表示は、合っているらしく、相談者にも、たしかに借りた記憶はあるとのこと。
これが間違っていれば、そもそも架空請求の類である可能性も高いのですが・・・
いずれにしても、譲渡の事実が真実だったとしても、まっとうな会社とは思えません。
きちんと話をして、場合によっては消滅時効の援用が可能かもしれませんので、しっかりと対応させて頂きます。
同様の督促や通知が届いた場合、直接連絡するのではなく、まずは司法書士や弁護士といった専門家にご相談されることをお勧めします。

 

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嬉しいお手紙を頂きました。

灘区シマブンビルにて、司法書士会主催で定期的に行っている無料相談会(http://www.bbplaza.com/2490)にお越し頂いたご夫婦から、わざわざ直筆でお手紙を頂きました。

 

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こちらの相談会は、毎月第2、第4土曜日の13:00~16:00で定期開催されており、ご予約は不要、相談料も無料です。
20名弱の司法書士が当番制で対応しており、その場で直接ご依頼を頂くことはできません(相談のみ)が、ご希望に応じて司法書士の名簿をお渡ししたりしています。

 

この方は、わざわざ名簿から当事務所を調べてお手紙を下さったようです。

 

限られた時間内でのご相談になりますので、どれだけお役に立てたかはわかりませんが、文面を拝見する限り、参考になった部分もあったようで一安心です。

 

こういった相談会などでのご相談はもちろん、事務所でのご相談も、必ずしも全てが事務所での受任(すなわち、事務所の経済的利益。有り体に言えば、儲け。)につながるわけではありません。中には、そもそも司法書士の専門分野ですらないものもあります。

 

しかし、そういった受任に至らない相談であっても、ご相談内容の中から問題点を整理し、可能であれば解決のための方向性をアドバイスし、必要に応じてその分野の専門家を紹介したりといった、できる限りの対応はさせて頂いております。

 

少なくとも、電話やご来所で時間を割いてご相談頂いている方に、

 

「電話してみて良かった」
「相談してみて良かった」

 

と思って頂けるような対応を心がけています。

 

その意味では、このようなお手紙は、ある意味では業務の受任以上に嬉しかったりもするものです。

 

今後もこういった評価を頂けるよう、精進していきたいと思います。

 

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休眠担保権の抹消②

前回からの続き

 

数十年前の登記簿上の住所から、現地を調べて訪問したところ、抵当権者と同じ苗字の表札を発見し、抵当権者もしくはその家族が居住している可能性が高いと考えられたため、早速その住所宛に手紙を出してみました。

 

が、手紙を出してしばらくしても一向に連絡はありません。再度書留で送ってみましたが、不在・保管期間経過で戻ってきてしまいました。

 

仕方ないので再度現地を訪問し、直接呼び鈴を鳴らしてみましたが、全く反応はなし。ふと見ると、横の郵便ポストにはかなり郵便物が溜まっており、中に人がいる気配もありません。

 

仕方なく、隣家の方に尋ねてみたところ、1年ほど前までは住んでいたが、おそらく亡くなられた?ためそれ以降誰も住んでいない、とのこと・・・

 

これは予想外でした。抵当権者もしくはその家族が住んでいれば、その方に事情を説明し、仮に抵当権者が亡くなっていたとしても、家族構成を確認して、相続人の方に協力をお願いすれば手続できると思っていましたが・・・1年前に亡くなられたというのが抵当権者本人なのかそのご家族の方なのかはわかりませんが(この住所地で抵当権者の住民票は取得できなかったことから、抵当権者本人ではない可能性が高い)、いずれにしてもこの時点での手掛かりがなくなってしまいました。
その後、裁判手続きによるしかないかと思い、その準備を進めながら、できる限りの調査も並行して継続していたところ、偶然にも、運よくこの抵当権者の一族と思しき方と繋がることができ、奇跡的に、その方を頼りに抵当権者の家族関係を明らかにすることができました。結果、やはり抵当権者の方も30年以上前に亡くなられており、その子どもも10年ほど前に他界していて、こちらの相続関係もなかなか複雑だったのですが・・・
最終的には、相続人全員の方と直接会って事情の説明ができ、手続に協力してもらえることととなりました。
当然、当時の事情などは誰も知らず、抵当権の権利書などの書類もなかったため、相続人の方々全員と直接面談し、本人確認情報を作成し、書類には実印を押してもらって印鑑証明も頂かなければなりません。そもそもちゃんと完済しているという証拠すらないのですから、なかなかデリケートなお話でしたが、どうにか全員にご納得頂き、書類を作成して登記申請したところ、特に補正もなくすんなりと完了してくれました。
なかなかシビアな案件でしたが、無事完了してほっとしています。

 

抵当権の抹消は、費用もさほど掛からない(実費数千円、専門家に依頼しても通常は1~2万円程度)、そんなに困難な手続ではありませんが、時間が経つとかなり複雑化する可能性があります。特に、個人での融資に担保権を設定している場合などは、相続が絡むと大変な手間になることもあります。そして、どんなに大昔の担保権であっても、登記上記録が残っている以上は、まず間違いなくまともには売ることはできません。

 

たかが抹消、されど抹消。手続にお困りの場合は、登記の専門家である司法書士にご相談されることをお勧めします。

 

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休眠担保権の抹消①

先日ご依頼頂いていた、相続登記と個人の抵当権抹消登記が、およそ半年がかりで無事終了しました。

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こちらの不動産、所有名義は昭和30年代に亡くなられた方のまま、さらにそこに、昭和35年に設定した個人の方の名義の抵当権が残ったままという、若干複雑なものでした。

 

相続登記の方は、名義人の方の子ども孫も亡くなっていましたので、現在の相続人の方の数も多く、これはこれで大変だったのですが、相談者の方が相続人のうちの1人ですので、そこから戸籍をたどっていき、連絡を取ってなんとか皆様の承諾をもらって名義変更できました。
が、問題は個人名義で設定された抵当権の方でした。

 

そもそも担保設定自体が60年も前の話ですので、当然相談者の方は当時の事情もわからず、抵当権者の名前を聞いても全く心当たりはありません。手掛かりと言えば、登記簿上に記載された住所と氏名のみ。しかし、それでもなんとかこの担保を消さなければ売ることもできません。
このような、数十年前に設定されて、現在ではすでに効力はない(完済していたり、時効にかかっていたりで、返済の義務はない)と思われるものの、登記上は権利が残ったままになっているものを総称して「休眠担保権」と呼びます。この休眠担保権を抹消するための方法はいくつかあり、この分野だけで書籍が発刊されるほど、実はやっかいな問題でもあります。
抵当権者が金融機関の場合、合併や解散で、当時の会社がなくなっていたとしても、商業登記簿謄本などから会社の変遷をたどることができますし、そこから当時の清算人の方や、現在の存続会社に連絡を取って抹消に協力してもらうことが可能です。場合によっては、裁判所に特別代理人の選任申立を行ってから抹消します。
ところが、抵当権者が個人の場合、そもそも相手方を探し出すことすら困難です。手掛かりが担保設定時の住所と氏名しかない上、住民票は、その方がそこから住所を移転させたり、亡くなったりすると、原則5年で廃棄されてしまうため、何十年も前の住所氏名だけでは、住民票を取得することもほぼできません。昔は、住所イコール本籍地としていた方も多いため、登記簿上の住所をもとに戸籍を取得することもできますが(戸籍は住民票よりも保管期間が長いため、時間が経っても保管されている可能性が高い)、本籍地と住所が違う場合はこれも無理です。
そうなると、登記簿上の住所地である現地を訪問し、本人もしくはその家族(子孫?)が居住していないかなどを実際に調べる必要があります。その結果、完全に行方不明であれば、抵当権者行方不明を理由に、供託金を収めて抹消行方不明の抵当権者を相手取って訴訟を提起して抹消などの方法によることとなります。
①の場合、ざっくりいうと、当時から現在までの利息・遅延損害金を全額供託(=法務局に預け入れ)しなければなりません。
設定当時の金額が数百円とか千円程度であれば、上記を計算しても大した金額にはならないのですが(物価や貨幣価値の変動は考慮しません)、今回は、設定金額が●十万円であったため、この方法だと軽く数百万円を供託しなければならないこととなり、事実上困難でした。
そこで、登記簿上の住所地(現在は存在しない番地であったため、現在の番地表記を調査した上で)を訪問してみたところ、そこには抵当権者と同じ苗字の表札が・・・家自体もかなり年季が入っており、相当以前から住まわれていたのではないかと思われます。これは、抵当権者もしくはその家族が現在でも居住している可能性が高いと思われました。その場合、仮に抵当権者が亡くなっていても、相続人の方々に協力してもらえれば、抹消手続きは可能です。一筋の光が見えたと思ったところ・・・
長くなりましたので次回に続きます。

 

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法定相続情報証明制度と家系図

平成29年5月から、法定相続情報証明制度がスタートしてから約1年強が経過しました。依頼者の方にそれとなく聞いてみることはあるのですが、まだまだ浸透してきたなという感じは受けませんが・・・

(もっとも、この1年以内にお身内の方での相続などを経験された方でなければ、そもそも必要となる機会もないので、当然といえば当然かもしれません。)

制度の内容としては、相続が発生した場合、法務局に対して、必要な戸籍等と申請書類を提出することで、法務局が認証印付の証明書(=法定相続情報)を発行してもらえる、というものです。

現物はこんな感じです。

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法務局で戸籍等関係書類を確認した上で、家族関係(厳密には、法律的な相続関係)を証明してくれるため、相続に伴う様々な手続きの中で、今までは戸籍の束をその都度提出しなければならなかったもの(預金の解約・名義変更、証券会社の相続手続き、保険会社への請求など)において、その代わりにこの証明書1枚を提出すればOK、ということになっています。

一般的に、相続関係を明らかにするための戸籍謄本というのは、最低でも5~6通、通常は10通以上というケースが多く、下手すると数十通にのぼることなどもあります。

今までは、亡くなった方が複数の預金口座を持っていた場合などは、これらの原本及びコピーを提出し、担当部署で内容の精査を行ったうえで、問題なければ手続きが進み、後日原本を返却してもらうという作業を、それぞれの金融機関ごとに繰り返し行わなければなりませんでした。

この制度を利用すれば、相続関係については、法務局がいわば「お墨付き」を与えてくれるわけですから、金融機関に対して戸籍の束を提出する必要はなく、その手間はかなり軽減されます。
※法務局でこの制度を利用する(お墨付きをもらう)ためには戸籍は必要になりますので、戸籍自体を取得する必要がなくなった、というわけではありません。

 

また、各金融機関内部で、今までは、提出された戸籍の束をもとに、相続関係に間違いがないかどうかをきちんと確認するのに時間がかかっていましたが、この証明書があれば、その確認の手間も省けますから、金融機関での手続き自体の時間も短縮されると思います。

ただ、注意しなければならないのは、これはあくまで法律上の「相続関係」を明らかにするものであって、「家系図」ではありません。

何が言いたいかと言うと・・・

例えば下記のようなケースを考えてみましょう。

相続関係図(ブログ用)

 

 

 

 

 

 

 

 

亡くなったのはXさんで、Xさんは生涯独身であったため、配偶者もお子さんもいませんでした。

また、Xさんのご両親は2人ともすでに亡くなっており、Xさんのきょうだい5人(A~Eさん)のうち、姉のCさん以外の4人は、同じくお子さんがいなくて、Xさんより先に亡くなっているとします。

この場合の、いわゆる家系図、というのは、上記の図のようなものをイメージされるかと思います。
※実際に、我々が相続登記の際に作成する相続関係説明図は上記のような感じです。

しかし、このケースで、「法定相続情報」として作成されるものはこれ↓です。

法定相続情報(ブログ用2)

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごくシンプルです。

A、B、D、Eの4人は、そもそも記載すらされません。
※記載した書類を法務局に提出すると、削除するように言われます。
これは、A、B、D、Eの4人は、Xさんに子どもがいない場合は相続人にはなるのですが、Xさんよりも先に亡くなっており、かつその子ども(Xさんから見た甥、姪)もいないため、「Xさんの相続関係に無関係」だからというのが理由です。

 

つまり、上記のケースでは、Xさんの相続人は、姉であるCさんのみであり、その2人の関係性がわかる最低限の情報しか記載されない、というわけです。

どうですか?実際には6人きょうだいであったのに、2人しか記載されていないものを「家系図」と言われても違和感がありませんか?

 

中には、この制度のことを、「法務局がお墨付きを与えてくれた家系図」のように理解されている方がいらっしゃるのですが、必ずしもそうではない、ということがお分かり頂けたと思います。

 

とはいえ、制度自体は事案によっては使い勝手の良いものですし、何より、この証明書の発行自体は無料です。5通とっても10通とっても無料です。

不動産の名義変更(相続登記)が必要になるケースであれば、ついでに取得しておけば他の手続きがラクになりますし、不動産がないようなケースでも申請は可能ですか
ら、もらっておけば他の手続きに使うことは可能です。

相続登記が不要の場合(亡くなった方名義の不動産がない場合)であっても、ご依頼頂ければ戸籍の収集から証明情報の申請、取得まで、司法書士が行うことは可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

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倉敷市真備町にて②

前回の続き>

部屋の中にはガラスや割れ物、釘なども散乱しているため、作業中は必ず長袖長ズボンに長靴、厚手の手袋が欠かせません。この服装で外に立っているだけで、ものの数分で汗だくです。

作業に入れば、あっという間に汗と泥水とで全身びしょ濡れの状態になりますが、そんなことを気にしていては何もできません。汗で湿った防塵マスクは、通気性が著しく低下し、サウナのような室内では、一歩間違えれば酸欠を起こしそうになります。

こういった様々な要因と闘いながら作業を進めていくうちに、家の前の庭、道路の脇はあっという間にゴミだらけになっていきます。

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一応、近隣の学校や多目的施設のグラウンドなどが、臨時のごみ集積場になってはいるのですが、そもそも近隣宅含め、自宅に停めてあった車のほぼ全てが水没により使用不能のため、そこまで運ぶ手段のない家がほとんどです。

 

身内や友人の方が軽トラなどで応援に駆けつけてくれている家は、自分たちでゴミを運んでいくことも可能ですが、それらの車で集積場への道路が大渋滞しているため、何もなければものの5分で往復できるグラウンドまで、1往復するのに1時間以上かかるなんてこともざらです。

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集積場での荷降ろしを考えると、2~3人の人手が必要で、それがゴミ出しで1時間も2時間も帰って来られないとなると、家の作業が進みません。そのため、人手と手段(トラック等)が間に合っている家でなければ、集積場へのゴミ出しすら不可能です。

そうなると、ほとんどの家は、自宅前の道路脇などに、通行の妨げにならないようにゴミを出していくしかないのです。

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※一部のテレビ報道で、「誰かが勝手に道路の脇にゴミを捨てたので、他の人は捨てても良いと勘違いしてどんどん捨てた結果、ゴミの山が出来上がった」といったような放送がなされていましたが、自宅前や道路脇の通行の妨げにならない場所へのゴミ出しは、自治体が推奨しています(避難所で確認済み)し、何より他に方法がありません。これらの自宅前のゴミは、自治体若しくは委託業者が回収してくれます。

幸いなことに、親戚宅はある程度の人手も確保できたため、3連休でかなり片付けは進みました。ただ、あくまで「家の中の物の運び出しが終わった」程度で、とてもまだまだ人が住めるような状況ではありません。

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※作業前                  ※作業後

 

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※作業前                  ※作業後

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※大広間(作業後)             ※台所(作業後)

また、近隣には明らかに作業の進んでいない家や、進みが遅そうな家も数多く見受けられました。

真備町自体、最近になって若い人の移住も少しずつ進んでいるようですが、もともとは高齢の方々の多い地域ですので、フットワークの軽い身内や友人の数も少ないという方もたくさんいらっしゃると思います。今現地で必要なものは、モノでもお金でもなくとにかく人手だと、強く感じました。

 

神戸から手伝いに駆けつけたことで、親戚の方からはお礼の言葉なども頂きましたが、所詮こちらはやれることだけやって切り上げて帰宅すれば終わりなわけですから、気楽なものです。

 

これからもそこで生活を続けていかなければならない方々の苦労や大変さや、高齢で、ともすれば終の棲家と思っていた住み慣れた家で被害に遭われてしまった方々の心情を察すると、言葉が出ない思いです。

 

今回の水害は、復旧にはおそらく年単位の時間が必要になるのではないかと思います。阪神大震災、東日本大震災と並んで、間違いなく平成の大災害と言えるものだと思います。

 

2つの地震と比べると(そもそも比較するものでもないかもしれませんが)、被害者の方の数や被災エリアは小規模かもしれませんし、神戸のような、物流の要点というわけでもないため、ともすれば、時間の経過とともに忘れ去られてしまわないかが心配です。

 

今後も、可能な限り時間を作って現地に赴き、少しでも何かの手伝いを継続できればと考えています。

倉敷市真備町にて①

連日ニュースでは7月の西日本豪雨災害の報道が続いています。発生から10日が経過しましたが、いまだ行方不明者の数は2桁にのぼっており、その被害の大きさは想像を絶するものとなってしまいました。

かくいう僕の地元も岡山県で、広島と並んで、非常に被害の大きな地域でした。特に倉敷市真備町は、川の氾濫、堤防の決壊による浸水被害が凄まじかったのですが、実は祖母の地元が真備町ということもあって、親戚宅がもろに被害を受けていました。

幸いなことに、身内で亡くなった方はいなかったのですが、親戚宅は完全に水没し、家具・家財・自動車等は全滅でした。そのため、先週の水曜日と3連休の計4日間、少しでも何かの役に立てればと思い、被災地である真備町に行ってきました。

ニュースで映像を見てはいましたが、やはり現地で直接目で見た時の衝撃は、言葉では言い表せないほどでした。

 

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にわかには信じがたいですが、近隣数千世帯がほぼ完全に水没してしまったため、室内の家具、家電、家財道具や衣類、食料品、生活雑貨、畳、壁紙に至るまで、ありとあらゆるものが使用不能の災害ゴミと化してしまい、家の中にはこれらが散乱し、さらに床には外からの土砂や、昔ながらの土壁が剥がれて泥のようになったものが堆積しているという状況でした。

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床に溜まった泥を掻き出さないことには、室内のドアすら開きません。

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箪笥や棚などの大型家具は、ほぼすべてが隙間に泥が詰まり、建付けもおかしくなっており、引き出しがびくともしない状態です。中にモノが詰まったままでは、とてもではないですが運べる重さではないので、バールと金槌で引き出しを1つずつ破壊してこじ開け、中のモノを出した上で、大人数人がかりで運び出します。

 

さらに、衣類や布団、畳などの吸水性のあるものは、汚水・下水の混ざった泥水を吸収し、凄まじい重さとなっているのに加え、当然ながら臭いもひどく、外に運び出すだけでも容易ではありません。

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壊れた冷蔵庫の中の物や、備蓄してあった米などは悉く腐敗し、台所には、マスクなしでは立ち入れないほどの異臭が立ち込めています。

これらの作業だけでも大変な重労働なのですが、加えてこの暑さです。

現在ではわかりませんが、電気はもちろん、水道すら復旧しないような状況でしたので、室内には、エアコンはもとより扇風機すらありません。

炎天下の庭と、サウナのような室内をひたすら往復しながらの作業は、これまでの人生で最も過酷であったといっても過言ではないと思います。

 

続きます

借金2400万円が300万円に!

先日、昨年秋に受任した依頼者の方の個人再生手続の認可決定が出ました

 

受任時点で、借入先業者数は約30社、借入額は住宅ローンを除いて2000万円以上という、個人の方にしてはかなりボリュームのある案件でした。

 

普通に考えれば自己破産も検討しなければならない状況ですが、お子さんたちの生活もあって、なんとか自宅は守りたいとのご意向で、個人再生手続で進めていました。

 

ご本人様も、受任以後はそれまでの生活態度を改め、真剣に家計管理を行い、必要書類も早急に揃えて頂いたおかげで、受任から3ヶ月後の今年1月には裁判所に申立を行い、4月には認可決定と、非常にスムーズに手続を進めることができました。

 

結果的に、2400万円以上あった借金は300万円まで減額され、返済期間も5年間で認められたため、毎月の返済額も数十万円から5万円まで減らすことができました。

 

受任以後は、毎月5万円の積立も継続できていたため、今後の返済も問題なく可能ではないかと思います。
5年間という長丁場での返済計画にはなりますが、なんとか頑張っていってもらいたいと思います。

 

個人再生は、支払不能常態であっても、生活再建に向けた非常に使い勝手の良い手続です。

 

借金の返済にお悩みの方は、ぜひ1度ご相談頂ければと思います。

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立て続けに相続放棄?


今回は相続放棄のお話です。

 

亡くなられた方に生前借金があった場合は、借金の支払い義務も相続されるため、相続人の方には借金の支払い義務が発生します。家庭裁判所で、相続放棄の手続きをとれば、これらの借金についての支払い義務はなくなります。

 

ただし、場合によっては、相続放棄をすることによって、繰り上がりで別の方が相続人となる場合があります(というよりも、多くの場合、そうなってしまいます)。
さらに、その繰り上がりで相続人となった方が、相続放棄の手続きをする前に亡くなられた場合、もともとの借金の支払い義務が、再度舞い込んでくる可能性があるので注意が必要です。

 
今回ご相談頂いたケースは、まさに上記のような事案でした。

 
(事案内容)
・亡くなられた方:Aさん(夫)
・当初の相続人:Aさんの妻Bさん、Aさんの子C

 

①Aさんの死亡後、Bさん及びCが相続放棄

②①の相続放棄により、繰り上がりでAさんの父親であるDさんが相続人に

③Dさんが相続放棄をすることなく死亡

④再度Cが相続人になり、再び相続放棄手続きが必要に

 
これは、相続に関する下記の2つの大きなポイントが重なったために発生した事案でした。

 

(1)相続放棄による繰り上がり相続
基本的に、亡くなられた方に子ども(養子含む)がいる場合、子どもは必ず相続人となります。
しかし、その子どもが全員相続放棄をした場合、今度は亡くなった方の親が繰り上がりで相続人となります。
※両親ともに先に亡くなっている場合は、きょうだいが相続人となります。

 

(2)代襲相続
亡くなった方に子ども及び孫がいて、子どもの方が先に亡くなっている場合は、その子どもが相続するはずだった権利義務は、代わりに孫が相続します。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。
上記の事案のように、先に父親の相続を放棄していたとしても、祖父の代襲相続人になります
※父親の妻(上記の例でいうBさん)は代襲相続人にはなりません。

 
これにより、今回のケースでは、Cさんは短期間に、同じ借金のために、2度も相続放棄の手続きをとらなければならなくなりました。
Dさんが亡くなる前に相続放棄をしてもらっていれば、このようなことにはならなかったのですが・・・

 
相続放棄の手続きにおいては、ほとんどの場合において、放棄することによって代わりに相続人となる方が存在します。
事案のようなことがないよう、可能であれば、その方々にも連絡を取って、必要に応じて相続放棄の手続きをおこなって頂くことをお勧め致します。

 

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DESによる増資

先日、何度か登記のご依頼を頂いている会社から、DESによる増資のご相談を頂きました。

 

●DESとは?
デット・エクイティ・スワップの略で、Debt(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)することをいいます。
つまり、会社にとっての債務(借金・負債)を株式に振り替えることで、債務超過を解消させたり、負債を削減することができます。

 
●DESのメリット
(会社側のメリット)
会社の負債を減らす(=株式に転換する)ことにより、財務体質を強化・改善することができます。
実際にキャッシュが増加するわけではありませんが、借入金を返済する必要がなくなり、利息負担も消滅します。

 

(債権者側のメリット)
会社の株式を取得することで、新たに株主として経営に参画することができます。また、将来企業価値が高まれば、保有株式は、従前の債権以上の価値を持つ可能性もあります。

 
●DESのデメリット
(会社側のデメリット)
従前の債権者が、今後は株主として影響力を持つことになります。また、これにより、従前の株式保有利率も変動することになるので、過半数株主が過半数を割り込む可能性等があります。
また、手続き自体に税金(増資に伴う登録免許税等)や登記費用が必要になります。
(債権者側のデメリット)
当然ですが、従前の貸付金は消滅するため、会社に対して返済を求めることはできません。また、将来会社が傾くような事態になれば、事実上株式の価値がほとんどなくなってしまう可能性もあります。

 
●DESの手続き
債権者が、保有する債権を金銭の代わりに現物で出資し、その分新たに株式を引き受ける、いわゆる現物出資によるのが一般的です。
今回のケースでは、役員の方がこれまでに会社に対して貸し付けてきた短期借入金(の一部)を現物出資することで、新に株式を発行するというものでした。

 

この場合、原則的には、貸付金の存在を明らかにするために、今までの貸付を証明する書類(帳簿や契約書類、総勘定元帳など)を提出することになります。しかし、貸付金は1度に貸し付けたものではなく、数年にわたって何度も行われたものであって、その都度契約書なども作成していません。

 

そこで、あらためて会社と役員の方とで債務承認契約を結んで頂き、現時点でいくらの債権債務があるのかを整理した上で、税理士の先生の証明書も添付して登記申請を行いました。

 

これにより、過去の帳簿や総勘定元帳などを提出する必要がなくなります。
上記で登記も無事に問題なく完了しました。

 
上手く利用すれば、会社のキャッシュアウトを抑え、債務体質を改善することができる手続きですので、DESをご検討の方はぜひ1度専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか?

 

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