時効期間経過後の裁判

以前債務整理の手続きをした依頼者から、「債権回収業者から訴訟を起こされたので相談したい」と連絡がありました。

話を聞くと、もともとの債権者は、ポケットバンクの名称で知られていた三洋信販株式会社で、提訴してきたのはアビリオ債権回収株式会社という会社でした。

これらの会社は、過去数回にわたって合併や社名変更を行っており、依頼者も、アビリオなどという名前には聞き覚えがなく、当初は何の件だかわかっていなかったようです。

<旧三洋信販系の経緯>
※三洋信販株式会社
↓吸収合併
プロミス株式会社
↓商号変更
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 ←今ココ

※三洋信販株式会社
↓債権譲渡
パル債権回収株式会社
↓吸収合併
三洋信販債権回収株式会社
↓商号変更
アビリオ債権回収株式会社 ← 今ココ
訴状を確認したところ、

・契約日:平成12年●月●日
最終入金日:平成15年●月●日
・パル債権回収株式会社への債権譲渡日:平成22年●月●日
・上記債権譲渡通知日:平成22年●月●日

とありました。

 

<ポイント①>消滅時効の起算点はいつか?
貸金業者からの借入金についての消滅時効は、商法第522条の規定により5年です。
上記のように、途中で債権譲渡がなされた場合であっても、原則的に、消滅時効の起算日はあくまで最終入金日となります。そのため、本件については、最終入金日から約12年が経過していることになります。

 

<ポイント②>時効中断事由がないか?
最終入金日から5年以内もしくは5年経過後であって、消滅時効を援用する前に、少しでもお金を支払うとか(債務の弁済)、電話などで借り入れの事実を認めるとか(債務の承認)、あるいは、裁判を起こされて判決を取られるとか(債務名義の取得)している場合は、時効期間はその時点から再度カウントされることになります。
今回のケースでは、最終入金日が平成15年であることは明らかですから、それ以後の弁済はありません。その他の時効中断事由も見受けられませんでした。

 

<ポイント③>債権譲渡は時効を中断させるか?
貸付債権が譲渡された場合でも、その旨の通知がされただけの場合は、それ以前に完成していた消滅時効を援用することが可能です。
※今回のケースでは、平成22年の債権譲渡の時点で、すでに最終入金日から5年以上経過しているため、消滅時効は完成していたといえます。
ただし、債権譲渡の際に、単なる通知のみではなく、「異議をとどめない承諾」をしている場合、その時点で仮に消滅時効が完成していたとしても、その主張(抗弁といいます)を放棄してしまうことになりかねません。
異議をとどめない承諾とは、その名の通り、「あなたに債権が移転することについて、私は何の文句もありませんよ。」という積極的な意思表示です。この承諾は、債権譲渡の時点で生じていた抗弁(すでに弁済しているだとか、時効にかかっているはずだとか、相殺だとかという、言ってみれば、借主側からの主張。)を放棄してしまうことになるため、注意が必要です。
今回のケースでは、業者からの債権譲渡の一方的な通知のみで、依頼者がそれに異議をとどめない承諾をしたという事情はなかったため、問題なく時効を援用することができました。
結果的に、裁判は、業者側の請求を棄却するという判決で終了したため、依頼者の支払い義務はないことがはっきりしました。一切支払う必要がないということになり、依頼者の方も一安心されていました。

 

現在、様々な業者による、「消滅時効にかかっている債権」についての請求、督促、裁判が増えてきています。
消滅時効は、5年の経過によって自動的に効力が生じるものではなく、「5年経過+時効の援用(相手方への通知)」をもって初めて効力をもちます。そのため、時効の援用がなされない限り、5年経っていようが10年経っていようが、業者側からの請求、督促などは、違法とまでは言えません。

 

また、今回のように、時効にかかっている債権について訴訟を起こされた場合、こちらからきちんと「時効なので支払い義務はない」という旨を伝えなければ、裁判には負けてしまいます。裁判所は、時効にかかっていることが明らかであっても、それをきちんと主張しなければ、認めてはくれないので注意が必要です。

 

中には、裁判を起こす前に、脅しのような督促によって1000円だけでも支払いをさせたり(債務の弁済)、借り入れの事実を認めさせるような電話内容を録音していたりして(債務の承認)、時効援用をできなくさせてから裁判をしてくるような業者もあります。
対応次第では、支払いをしていなかった期間の利息も含めて全額の支払い義務が生じる危険性もありますので、聞いたこともない業者からの督促や、相当昔の借金についての裁判などを起こされた場合は、うかつに返答などはせずに、すぐに専門家に相談されることをお勧めします。

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相続と不動産①相続税控除の削減

新聞やニュースでも報道されていたため、ご存知の方も多いかと思いますが、平成27年1月1日以降の相続に関しては、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。
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※平成26年12月31日以前の相続
相続財産の額が、5000万円+(法定相続人の数×1000万円)を超えた場合のみ、相続税の対象。
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   ↓
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 平成27年1月1日以降の相続
相続財産の額が、3000万円+(法定相続人の数×600万円)超えてしまうと、相続税の対象。
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なんと、実に40%も控除額が削減されています。相続税の控除額を削減することで、高齢者の資産流通性を高める(「相続まで財産持っていたって、税金たくさんかかりますよ」ということで、生前の資産流通、移転を促す)ことが狙いと言われていますが、これにより、今まで相続税の対象ではなかった方々も、決して他人事とは言えなくなってきています。
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(例)相続財産:不動産4000万円+預貯金2000万円=6000万円
相続人:妻と子ども2人の計3人 というケース
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平成26年12月31日以前なら・・・
相続税控除額=5000万円+(1000万円×3)=8000万円 > 6000万円 のため、相続税はかからない。
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平成27年1月1日以降は・・・
相続税控除額=3000万円+(600万円×3)=4800万円 < 6000万円のため、相続税がかかる。
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とった具合です。
「相続税の心配なんか、一部の金持ちだけがすること 」とは、あながち言えなくなってきています。
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また、相続財産の中でも、特にその処理が難しいと言われるのが不動産です。
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単価が高く、必ずしも換価が容易ではない(売却にも手間暇、お金がかかる)上に、うかつに名義を変更することにより、多額の税金がかかってくる可能性があるため、その扱いは慎重に検討しなければなりません。
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相続と不動産についての論点は非常に複雑になりますので、次回以降、テーマを絞ってお伝えしたいと思います。
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次回は「相続対象不動産の評価について」です。
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神戸RunRunリレーマラソン

5月31日の日曜日に、神戸みなとのもり公園で行われた、神戸RunRunリレーマラソンに参加してきました。

 

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学生時代の友人やその仕事仲間、水泳仲間たち10人での参加でしたが、2日前の自転車の練習で腰をかなり痛めてしまい、当日の朝はベッドから起き上がるのも一苦労という状態…行きつけの整骨院の先生からはドクターストップをかけられていましたが、駅伝形式なので、走らなければそれだけ他の人の負担が増えてしまうため、どうにか走ってきました。

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男女混合の寄せ集め(失礼)チームでしたが、なんとか総合10位に入ることができました。
結局タスキをもらって走っている間は、腰の痛みよりも、周りに負けたくないという思いだけで走っていたような…(苦笑)
大人になってもこういうイベントに参加してくれる仲間がいることに感謝しながら、しばらくは静養しようと思います…

共有不動産の担保抹消について

今日は住宅ローンの抹消登記の依頼を頂きました。

対象不動産であるご自宅は、AさんとAさんのお父様の共有で、このたびAさんが亡くなられたため、団信により住宅ローンを完済した、というケースでした。

※団信とは・・・団体信用生命保険の略で、住宅ローンを組んだ方が死亡または所定の高度障害状態になられたとき、その保険金で住宅ローンを返済するための生命保険です。

Aさんの奥様は、銀行の担当者から、担保抹消の書類を受け取る際に、

「Aさんは亡くなってるので、Aさんの相続登記をしなければ担保の抹消登記はできませんので。」

と言われたとのことでした。

しかし、Aさんのお子さんはまだ未成年であり、遺産分割協議をするためには特別代理人を選任しなければなりません(お子様が複数いたので、法定相続持分での登記も避けたいところです)。そのため、相続登記はすんなりとはできそうもないので、担保の抹消登記もまだできないと思っていたそうです。

しかし、今回のケースでは、幸か不幸か、ご自宅はAさんのお父様と共有の状態でした。
そのため、Aさんの相続登記をしなくとも、Aさんのお父様が申請人となることで、担保の抹消登記を行うことが可能 です。

相続登記は、お子様が成人してから遺産分割協議を行い、Aさんの奥様名義にするとのことでしたので、今回は担保の抹消登記のみを先に進めておくことになりました。

Aさんの奥様も、「完済したのに、書類上担保をそのまま残しておくのはなんだか気持ちが悪い」とおっしゃっていましたし、何より、そうこうしている間に、銀行から受け取った書類を紛失したりしてしまうと、将来余計な手間がかかってしまいます。

銀行の担当者の方は登記のプロではありませんし、決して悪気があったことではないと思いますので、そのことには触れませんでしたが、このようなケースでも担保抹消ができることは、司法書士にとってはごくごく基本的なことです。

登記のことについては、司法書士に1度相談されてみることをお勧めします。

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ブログ開設しました。

紆余曲折を経て、平成27年4月に事務所を独立しました。

その後、なんだかんだとバタバタしていて、本日ようやくブログの開設まで漕ぎつけました。

いかんせんインターネットに弱く、なにがなんだかよくわからないまま、ホームページもすべて手作りしましたので、見苦しい点も多々あるかと思いますが、ゆるーくお付き合いいただければと思います。

基本的には司法書士の日常業務について、時に趣味やプライベートのことなどを、気の向くままに綴っていこうと思います。

基本的に難しい話は苦手なので書きません(書けません)のであしからずご了承ください…(苦笑)