法律扶助を利用して自己破産

先日、自己破産の申立の依頼を受けていた件で、無事裁判所から免責決定の通知が届きました。

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この方は、10年以上前に消費者金融数社から借金をし、その後諸々の事情で返済が困難になり、転居を繰り返すうちにいつしか督促もあまり来なくなったため、ついそのまま放置してしまったという方でした。

 

ご本人様は持病もあり、就労は困難な状況で、現在は生活保護を受給しています。
同居していたお父様が亡くなり、1人暮らしになった後、債権回収業者から、以前の借金の取り立て通知が届くようになり、ご相談に来られました。
督促が届いていた業者と、その他ご本人様の記憶を頼りにいくつかの業者に受任通知を発送し、債権調査を行ったところ、いくつかの業者はすでに消滅時効が完成していましたが、2社ほどは裁判を起こされており、時効を援用することができない状況でした。
2社とはいえ、延滞していた期間の利息・損害金も上乗せされて、とても返済できるような金額ではありませんでした。
(というよりも、生活保護受給中の方は、生活保護費を借金の返済に充てることは禁止されています。)

 
消滅時効援用が可能な業者については、その旨の内容証明郵便で片を付け、2社については自己破産申立を進めることとなりました。当然、当方の手続き費用については、法テラスの法律扶助制度を利用しました。
※法律扶助制度とは・・・
一定の収入要件(収入が一定基準以下)をクリアしている方については、法テラスが専門家の相談料や手続き費用を立替えて負担してくれます。あくまで立替えですので、後日可能な範囲(月数千円程度)で分割で支払う必要がありますが、手続き終了時点で生活保護受給中の方は、申請により分割払い自体を免除してもらうことが可能です。

 
正直なところ、法律扶助制度を利用した場合に、法テラスから専門家に支払われる報酬は、相場よりもかなり低いと思われる額です。また、法テラスに対しての業務報告なども求められるため、通常業務プラス報告業務ということで、作業量は増えることがほとんどです。そのため、中には法律扶助を利用した業務の受任に消極的な専門家も存在するのが実情です。

 

 

今回のケースでは、受任直前は返済に追われていたわけではないので、自転車操業にもなっておらず、家計状況が把握しやすいこと、生活保護受給中ということもあって、目立った財産が存在しないこと、かかりつけ医から就労困難との診断書も容易に取得できたことなどから、かなり早い時期に申立を行うことができ、無事免責となりました。
ご本人様にしてみれば、受任以前も借金の返済に追われていたという実感はないことから、ただちに生活が改善したということはないかもしれませんが、今後は督促の連絡やハガキが来ることがないかと思うと安心できます、とおっしゃっていました。

 

督促が来ないからと言って、以前の借金をそのままにしておくと、忘れた頃に督促状が届くという可能性はあります。

※すでに時効期間が経過していたとしても、借り手から時効である旨を主張しない限り、請求・督促を行うこと自体は違法ではありません!
中には、それがきかっけで同居のご家族にバレてしまった、という方もいらっしゃいます。
心当たりの方は、1度専門家へご相談してみることをお勧めします。

 

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清算を結了していない旨の届け出②

さて、前回に引き続き、職権で登記簿を閉鎖されてしまった会社のお話です。

 

似たようなケースで、きちんと清算業務を行い、清算結了登記によって法人格が消滅し、登記簿が閉鎖されたような場合(今回の事例の株式会社B銀行、C信用組合のような場合)、後日その会社名義の財産が見つかったりすると、実は生産が結了していなかった(まだ未処分の財産があった)ということで、「清算結了登記を抹消する登記」の申請が必要になります。
しかし、今回のケースでは、そもそも清算結了登記はされておらず、法務局の職権で登記簿が閉鎖されているため、これを復活させるためには、「清算を結了していない旨の届出」を行うことになります(商業登記規則81条3項)。これは、登記申請ではありません。
実際に行った手続きとしては、
・清算を結了していない旨の上申書作成
・今回の対象不動産の登記簿謄本提出(実際にその会社名義の財産が存在することの証明)
・清算人の印鑑届出
・清算人が登記簿上の住所から移転していたので、その沿革の疎明
になります。
登記申請ではないので、登録免許税はかかりません。
個人的にも初めての申請だったのですが、割とすんなりと受け付けてくれ、通常の登記申請用の受付票をもらいました(普通、あまりもらうことはないですが・・・)。

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印鑑カードの発行申請(カードは郵送交付希望)も同時に行っていたため、特に問題なければ確認後に印鑑カード郵送しておきます、とのこと。
しかし、そもそもの今回の相談は、担保抹消(及びその後の売却?)がメインなので、この会社復活の手続きはそのための準備にすぎません。担保権者である金融機関は2社ともすでに清算結了されており、こちらも登記簿は閉鎖されているので、それはそれで多少ややこしいことになりそうです・・・
不動産の管轄は三重県になるので、なんとか補正にならないようにしっかり準備して申請したいと思います。

 

 

あまりないケースだとは思いますが、似た事案でお困りの方はぜひご相談ください。

 

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清算を結了していない旨の届出①

長らくブログの更新を中断しており申し訳ありません・・・

個人的に、受けなければならない試験のための勉強などもあり、更新の余裕がありませんでした。
さて、久しぶりの更新でいきなりマニアックな話で申し訳ないのですが、先日、「登記簿を閉鎖された会社の復活(?)」の手続きを行ってきました。
この相談は、もともと知り合いの弁護士の先生からの担保抹消の相談が発端でした。
弁「担保の抹消っていくらぐらいでできる?」

青葉「まぁ、そんなに複雑なものでなければ1~2万円でできますが・・・」

弁「ちょっと複雑かもしれんけど・・・とりあえず資料送るわ!」

とのことで、届いた資料を見てみると・・・

 

 

 

●所有者:A株式会社
→職権により解散、その後職権により登記記録閉鎖

●根抵当権者①:株式会社B銀行
→平成10年解散、平成14年清算結了

●根抵当権者②:B信用組合
→C信用組合に吸収合併され消滅、C信用組合は平成14年解散、平成24年清算結了

※その他、条件付賃借権、条件付地上権あり

 
という、なんとも複雑な状況でした・・・
当事者となる法人が、ものの見事にすべて法人格が消滅しているという、あまり見たこともないケースです。
(とてもじゃないですが、1~2万円でできる登記ではありません(苦笑))
<A株式会社の実際の登記記録>

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このように、すでに登記簿が閉鎖されています。
(平成9年6月3日解散、平成28年2月10日登記簿閉鎖)

 

一般的には、「解散=会社消滅」というイメージが強いですが、法律的には、「解散=清算業務の開始」といえます。
この清算業務を行うのが「清算人」で、小規模な会社であれば従前の取締役がなることが多く、規模の大きな会社になると、公平性の観点から弁護士などが請け負ったりします。

 

つまり、清算手続き中であれば、清算人が会社を代表することになるので、会社の資産の処分等も行うことができ、もちろん登記手続きも可能です。
これに対し、登記簿が閉鎖されてしまうと、これはもう法律的にも会社が消滅ということになります。
そのため、普通は清算業務がすべて終了した段階で「清算結了」という登記を申請し。これによって登記簿が閉鎖されることがほとんどです。

 
しかしながら、上記の解散(清算中)という状態があまりに長く続くと、法務局は、職権で登記簿を閉鎖してしまうことがあります(商業登記規則81条1項)。

 
今回も、平成9年に解散(そもそもこの解散自体が、法務局の職権でなされたものだったので、代表の方にはあまり自覚がなかったのかも・・・)し、その後、20年近くにもわたって何らの動きがないため、法務局がしびれを切らして(?)平成28年に登記記録を閉鎖してしまったのでした。

 
こうなると、会社自体が消滅していることになるので、登記申請の当事者となることができません。

そのため、まずはこの会社を復活(?)させる手続きから行わなければなりませんでした。
少し長くなりそうなので続きは次回に・・・

 

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相続登記からの売却・換価分割

今日は明石の相続物件の調査に行ってきました。

 

今年に入って所有者の方が亡くなられ、生涯未婚でお子さんがいなかったため、ご兄弟の方が相続人となりました。

 

しかし、ご兄弟の方々もすでにご高齢で、もちろんそれぞれの生活もありますので、不動産を相続しても処理に困るとのこと。

 
そこで、不動産は売却し、諸経費等を差し引いて、現金という形で相続人に分配する換価分割という方法で進めることになりました。売却手続きもこちらにお任せ頂けるとのことで、私の所属する不動産会社の社長と現地確認へ。

 
室内にはまだかなりの物が残っており、故人の生前の生活の様子が目に浮かぶような状況でした。

 
建物自体は築30年以上経過していますが、鉄骨造のしっかりした建物で、立地は悪くはないため、解体前提で売るのか、建物を残してリフォームでいくのかでかなり評価が分かれることになりそうです。

 
相続人の方々は、あまり金額にはこだわらない、とのことでしたが、そうは言ってもご家族の遺された財産。きちんと評価し、有効活用して頂ける方に買って頂ければ、それに越したことはありません。なるべく早く、相続人の方々のご納得頂ける方を頑張って探したいと思います。

 

当方では、空き家、相続物件などについて、必要な登記手続きからご売却手続き、収益物件としての活用なども含めて、総合的にサポートさせて頂きます。

 
不動産のことでお悩みの方は、ぜひ1度ご相談ください。

 

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住宅用家屋の減税について

自宅として不動産を購入(売買)する場合、築年数や床面積など、一定の条件のもと、建物部分に関し、所有権移転の際の登録免許税の軽減を受けることが可能です。

 
本則は建物の固定資産評価額の2%ですが、上記軽減措置を受ければ、0.3%で済みます。つまり、固定資産評価額が1000万円の建物であれば、通常の所有権移転の場合の登録免許税は20万円ですが、上記軽減を受けられれば3万円でOKです。その差実に17万円、これは大きいですね。
一般的に、司法書士が関与する所有権移転登記の場合、上記軽減を受けられるかどうかは司法書士が必ずチェックすると思いますので、ご本人様は特に気にされる必要はありません。

 
しかし、親族間売買などで、司法書士を関与させずに登記までやってしまおうという場合、上記軽減が受けられるかどうかの判断を誤ると、余分な登録免許税を納付してしまうかもしれません。
軽減を受けるための築年数や床面積の条件は、下記を参照して頂ければと思います。

※参考ページ(神戸市 住宅用家屋証明書の発行について)
http://www.city.kobe.lg.jp/life/registration/shinsei/zei/koteishisan/kokaokusyomei1.html

 
上記を前提に、今日は

いったん上記軽減を受けて購入した物件について、さらに持分を取得する際に、再度軽減措置が受けられるか?について説明します。

 
最初の購入時に、自己の単独所有にしている場合、それを再度購入するということはありえないのですが、共同所有になっている場合に、他方共有者から持分を購入するケースはあります。

 
例えば、夫婦(親子)共有で自宅を購入し、その後、何らかの事情で、一方が他方の持分を購入する場合などです。

 
この場合、そもそも最初の共有状態での購入の際に、上記軽減措置を受けてはいますが、後の持分購入の際にも、再度同じ軽減措置を受けることが可能です。

 
ただし、購入する方が、引き続きその自宅に住み続けている場合に限ります。

 

 

また、上記軽減措置は、売買(又は競売)により取得した場合に限りますので、贈与などによる所有権移転については適用はありませんので注意してください。

 

 

このような特例、軽減措置の適用の可否の判断も含め、登記手続きについてはやはりまずは司法書士にご相談だけでもされることをお勧めいたします。

 

 

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時効期間経過後の裁判

一般的に、貸金業者からの借入金は、最終取引日から5年を経過すると消滅時効にかかります。

 

これは、借りている側からすると、借金を返さなくて済むわけですが、5年経過すればただちに支払い義務がなくなるわけではありません

 

時効というのは、援用(えんよう)しなければ効力が生じません。援用というのは、言ってみれば相手方に対して「もう時効なので払いません」とハッキリと伝えることです。これをしなければ、10年経とうが15年経とうが、法律上の支払い義務は残ったままですから、請求・督促が来る可能性はあります。このこと自体は違法ではありません。
また、何年も経過しているうちに、合併や商号変更で会社の名前が変わったり、債権回収業者に債権が売却されたりして、当初お金を借りた業者とは全く違う名前の業者から督促の手紙が届くことも多々あります。
さらに気を付けなければならないことは、5年以上経過した後でも、貸金業者や債権回収業者から、支払いを求める裁判を起こされる可能性があるということです。繰り返しますが、時効の援用をしない間は、何年経っていても、督促が来たり裁判を起こされたりする可能性はあります。
裁判を起こされた場合、時効期間が経過していたとしても、きちんと裁判所で「時効なので払いません」ということを主張しないと、自動的に裁判に負けてしまう可能性があります。いったん裁判に負けてしまうと、その後で時効を主張するのは極めて難しく、最悪、裁判に負けてから10年経たないと、時効の主張ができなくなってしまいます。
聞き覚えのない業者名だからと言って、架空請求か何かと思って放っておくと、取り返しのつかないことにもなりかねません。参考までに、下記にいくつかの債権回収業者名を挙げておきます。これらの業者は、正式に国の許可を受けて債権回収業をおこなっておりますので、架空請求ではありません。督促が来た、裁判を起こされたという場合には、早急に専門家にご相談されてみることをお勧めします。
・アビリオ債権回収株式会社
・ニッテレ債権回収株式会社
・エー・シー・エス債権管理回収株式会社
・ジェーピーエヌ債権回収株式会社
・オリンポス債権回収株式会社
・エム・テー・ケー債権管理回収株式会社
・ティーアンドエス株式会社(いわゆるサービサーではありませんが、他社から債権譲渡を受けて回収業務をおこなっていることが多い会社です。)
※許可を受けたサービサーは他にも多数存在します。
参考URL 法務省:債権管理回収業者一覧
http://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html

 

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遺産分割協議と遺言

今日は遺言についてのお話です。

 

故人がお亡くなりになって、相続人の方々で遺産をどう分けるかの話し合い(=遺産分割協議)をおこない、まとまりかけたところで、故人の自筆の遺言が発見された・・・

 
さて、このようなケース、実際になくはなさそうですよね?
このような場合、優先するのは遺産分割協議?それとも遺言??どちらになるのでしょう?

 
原則的に、きちんと様式を満たしている自筆証書遺言であれば、そちらが優先します。したがって、遺言書に記載された遺産を受け取ることのできる相続人・受贈者は、その遺言書に従って財産の名義変更や払い戻しをすることが出来ます。

 

ただし、遺言書と異なる内容での遺産分割協議は、それはそれで有効ですから、遺言書の存在を認めた上で、それとは異なる内容で相続人全員が同意すれば、そちらが優先します。

 

しかし、話し合いで決めたよりも、後で発見された遺言書には多くの財産がもらえるように書かれていた・・・なんて場合、その人から遺産分割協議に待ったがかかる可能性はありますよね?

 

例えば、父親が亡くなって、相続人は長男A、次男Bの場合、2人とも遺言書などないと思って、財産は半分半分で合意したところ、後になって「財産は4分の3を長男A、4分の1を次男Bに相続させる」という内容の遺言書が発見された場合、Aさんから、「遺言書の内容を知っていれば、半分半分などという協議はしなかった」といって、争いになる可能性があります。

 

Bさんからしても、「すでに財産を分け終わった後にそんなことを言われても・・・」となるかもしれませんし、場合によってはすんなりと遺産の再分配に応じられない可能性もあります。

 

そもそも、最初からそういった遺言書の内容がわかっていれば、Bさんも渋々ながら従ったかもしれませんが、後になって発見されたことにより、無用の争いに発展してしまう可能性も大いにあるのです。後々家族がもめないようにと思って残した遺言書が、これではよけいな争いを生んでしまい、元も子もありません。

 
また、こちらにも書いてある通り、自筆証書遺言には厳格な様式が定められており、様式を満たしていないものは、存在していても無効です。さらに、形式的な様式は満たしていても、財産の特定が不十分であったり、書き方が曖昧だったりすると、事実上、法務局や金融機関が財産の名義変更に応じない可能性も十分にあり得ます。

 
このような危険性を避けるためにも、遺言書は極力自筆ではなく、公正証書で残すべきです。公正証書遺言の場合、本人様が亡くなった後であっても、遺言書があるかどうかを検索することも可能ですから、この手続きを踏めば、後になって遺言書が発見されるということもありません。

 

また、作成の段階で文案作成に専門家が関与したり、公証人がチェックすることになりますので、内容が不明確であったり曖昧であるという可能性は限りなく低くできます。

 
遺言書は、手軽に作れても落とし穴がたくさんある自筆証書よりも、公正証書での作成を強くお勧めします。

 

 

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司法書士✖不動産

年明けからバタバタしていまして、更新がかなりおろそかになってしまいました。

 

さて、当事務所は株式会社HouseDesignと提携し、不動産関係業務も積極的に行っています。僕自身も、宅地建物取引士として、不動産関係業務にも従事しています。

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司法書士と不動産は切っても切れない関係にありますし、登記手続きだけにとどまらず、不動産の専門家として、トータルサポートできる事務所を目指しております。

 

 

・不動産のご購入、ご売却をご検討の方
・賃貸物件のお引越しをご検討の方
・相続した不動産に住み手がいないため、賃貸やご売却をお考えの方
・住宅ローン返済が負担で、賃貸物件への住み替えをご検討の方

 
などなど、不動産についてのご相談は、ぜひあおば司法書士事務所までご連絡ください!

 

 

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消滅時効を認めない業者②

年が明けてバタバタとしているうちに、あっという間に時間が経ってしまいました…

 

前回の記事で、消滅時効援用を認めない業者について書いていましたが、進展があったので書かせて頂きます。

 

その後、念のため取引履歴を取り寄せたところ、やはり最終取引日は2002年(平成14年)であり、その後の返済記録はありません。5年どころか、10年以上経過している計算になります。

 

さっそく業者に連絡して確認したところ、やはり債務名義の取得等の時効中断事由もないとのこと。それであれば時効援用を認めるべきなのですが、そこは前回と同様、

 

・本人が転居を繰り返した

・督促をしたくてもできなかった

・転居の旨の連絡もなく、誠意が感じられない

 

ことなどを理由に、時効援用は認めないの一点張りでした。
※いずれも、法律的には全く認められない主張です。

 

ご本人とは、債務不存在確認訴訟も視野に入れて話し合いをしていたのですが、それに先立って、業者に最後通帳のために連絡を入れました。後日訴訟において、業者の言い分を立証するためにも、会話内容は録音していることを相手に告げた上で、業者側の主張をはっきりと根拠を示して述べてほしいと伝えました。

 

10分以上話していましたが、結局法的根拠が示せないまま、会社として最終的な回答をするので時間がほしい、とされました。話の感触的に、これは一転して時効を認めるのではないかなと思っていたところ、つい先ほど連絡が。

 

「社内で検討した結果、今回は時効援用を認め、信用情報も、10日の時点で既に削除要請を出しておきました。」
とのこと。

 

当然と言えば当然の結果なのですが、最悪提訴も考えていただけに、ほっとする結末となりました。

 

また、信用情報も直ちに削除してくれたようで(どうも時効援用したからといって、通常は延滞情報がすぐに消えるわけではない、ということです)、この点については期待していた以上の対応です。こちらとしても何の異論もありません。

 

初めからこのような対応をしてくれていれば、こちらとしては何の文句もなかったわけですが…

 

なにはともあれ、提訴に至ることなく解決できてご本人にも良い報告ができそうです。
やれば勝てるとわかっている裁判でも、費用負担とかかる時間を考えると、しないですむにこしたことはないですから…

 

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消滅時効を認めない業者

先日ご依頼頂いていた件で、とある貸金業者に時効援用の内容証明郵便を送りました。

 

依頼者はもう10年以上一切返済をしておらず、信用情報を取得したところ、この業者が「延滞」情報を登録したままで、約定返済日は平成14年10月となっていました。

 
本人の記憶では、その間に訴訟提起されたこともないとのことから、おそらく消滅時効の援用が可能である旨説明し、当方からその旨の内容証明を送っていたところ、下記のような電話がかかってきました。

 

 

業者「先日先生から時効援用の内容証明を頂いていましたが、当社としては、この方を時効で処理はできません。」

 

私「?? というと?債務名義取得してるんですか?」

 

業者「いえ、それはありません。ただ、この方は過去、延滞後にこちらから連絡しても電話も一切出て頂けてなく、住所も転々としていたようです。」

 

私「そうかもしれませんね。で?」

 

業者「中には住民票を移転させず、居所を移していたこともあって、当方は本人に請求しようにもできなかったんです。よって、居所不明の期間があるので時効は認めません。」

 

私「?? おっしゃる意味がわかりません。」

 

業者「ですから、当方はなんとか連絡をとろうと努力した形跡があります。それでも本人が行方をくらますという悪質な対応のために、請求も回収もできなかったのです。だから、時効の援用は認めませんし、信用情報も削除するつもりはありません。」

 

私「??? いやいやいや、住所わかってたんならそもそも訴訟打てるでしょ?それやってないんでしょ?公示送達って知っていますか?おたくもプロなら、時効かかる前にやれることあったでしょ?それすらやらずに何言ってるんですか?」

 

業者「先生のおっしゃることはわかりますが、当方の主張は先ほど述べたとおりです。」

 

私「(意味不明・・・何言ってんだこいつ)居所不明だからと言って、時効が進行しないなどという法律はありませんよ?提訴しようと思えばできたはずでしょ?」

 

業者「こちらも私がずっと担当していたわけじゃありませんので。担当が変わったりする中で、それでも本人さんに連絡しようとした形跡はありますので。」

 

私「担当がどうとかはそちらの勝手な都合でしょ?本件には何の関係もないですね。」

 

業者「とにかく、本件についての時効は認めません。」

 

私「だったら今から回収のために提訴でもしてきますか?」

 

業者「本件を提訴するかどうかは社内で検討してから判断します。」

 

その後しばらく話しましたが、結局意味不明な主張を繰り返すばかりで、時効援用は認めないので信用情報も削除しないとのこと。

 

そもそも業者の言う、「居所不明だから時効が進行しない」という主張には何の根拠もありません(法律知ってんの?というレベルです)。

 

※よくTVドラマなんかで、「海外に逃亡している間は時効が進行しない」というエピソードが出てきますが、あれは刑事事件に限った話で、民事事件の場合、海外にいようが住所がわからなかろうが、時効は進行します

 
居所不明の相手に対しても、訴訟を提起することは可能ですし、それで勝訴判決をとっていれば、誰の目から見ても時効の中断は明らかです。それをやらずにおいて、意味不明な根拠で時効消滅を認めないなど、もはや言っていることはろくでもない悪質業者と一緒です。挙句の果てには感情的になってガチャ切りに近い形で受話器を置く始末。これがいまだに銀行グループを謳って「●ー●ー●」などというブランドで大々的に貸付を行っている大手業者の対応だというのですから、呆れてものも言えません。

 

本当に権利が消滅していないと思うのであれば、社内で検討も何も、すぐに提訴してくればいいのです。それに含みを持たせているのは、結局提訴したところで、こちらが時効援用すれば勝ち目がないのがわかっているからです(というか、法律をある程度知っていれば普通はわかります)。

 

にもかかわらず、時効援用を認めない、などと言ってくるのは、ただの嫌がらせとしか思えません。いずれにしても、信用ある業者のすることではないです。

 

こんな意味不明な主張を認めるわけにはいきません。いずれ債務不存在確認と、信用情報誤記載についての損害賠償請求を併せて訴訟提起することになるでしょう。
信用情報機関への登録内容については、「加盟会社は信用情報機関に当該利用者の信用情報を提供するに当たり,利用者との間のクレジット契約に付随して,信義則上,正確を期し,誤った情報を提供する等して,当該利用者の信用を毀損しないよう配慮すべき義務があり,この義務に違反すれば,債務不履行責任を負う」とする裁判例が存在します。

 

 

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