司法書士新人研修

昨日、兵庫県司法書士会主催の、今年の司法書士試験合格者を対象とした新人研修会に、研修委員として参加してきました。

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今年の合格者の皆様は、来週から、まずは近畿地区ブロックでの本格的な研修が始まります。昨日の研修は、それに先立って、今後兵庫県会での登録を検討している合格者を対象に、近隣関連団体の説明や、司法書士倫理、後期案件等についての講義を行うものでした。

 

今年度合格者の皆様が集まるのは合格証書授与式に次いで2度目のようで、司法書士会館各所で新人同士の名刺交換が盛んにおこなわれており、傍で見ている自分も、合格した当初(もう10年近く前ですが…)のことを懐かしく感じました。

 

かくいう自分も、合格してからは10年近く経つものの、独立したのは今年の春ですので、ある意味半分は新人さんと同じ気持ちで講義を聞いていました。 ともすれば、日々の業務と生活に追われ、一司法書士としての倫理や理念というものについては、日ごろなかなか考える余裕がなくなってしまいます。

 

新人さんの初々しい姿を見ながら、もう1度我が身を振り返ってみなければならないと実感した1日でした。

 

夕方までの長丁場の研修を終えた後は、ハーバーランド万葉の湯での懇親会。個性の強い先輩方のご高説を賜りながら、新人さんたちは何を想ったことでしょう…??

 

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先輩方の中には、一刻も早い独立を強く勧められる方もいましたが、そこは今後の人生に大きくかかわってくることですので、じっくりと考えて、後悔のない結論を出してもらえればと思います。個人的には、せっかく顔なじみになれた方もいらっしゃるので、願わくば、近隣他府県ではなく、兵庫県での司法書士登録をしていただければと思います…(笑)

 

 

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クレジットカードの現金化の罠④

※前回の続き

 

前回までに説明した例は極めて単純化したもので、実際にはこういった商法は巧みに進化しています。一例を挙げると、

 

<買い戻し型>

クレジットカードのショッピング枠を利用して、現金化業者が直接商品を販売(例:10万円)しカード決済後、決済代金を下回る金額(例:6万円)で商品を買い戻し、利用者に現金を渡す方法です。

 

<キャッシュバック型>

現金化業者が直接商品を販売(例:10万円)し、キャッシュバックという形で、利用者の口座にお金(例:6万円)を振り込む方法です。
 

といったものがあります。

 

いずれの場合も、現金化業者にはカード会社から10万円が支払われるのに対し、利用者には6万円を渡しただけですから、差額4万円が現金化業者の利益になります。

 

これらのやり方に共通して言えることは、商品の売却行為自体は形式的なもので、買う商品にほとんど商品価値が無いということです。

 

実際に高額な商品を用いて行うためには、貸金業者にその分の仕入れの負担がかかるためです。現金化業者が、正規にモノの販売で利益を上げようとしているわけではないことがよくわかります。馴染みやすい名称や、きれいに見えるホームページに騙されてはいけません。

 

★現金化をする前に★ 
ショッピング枠の現金化自体は、現時点では取り締まる法律がなく、完全に違法とは言えない状況です。

 

しかし、これらの行為は、わずか数ヶ月間の一時しのぎにすぎないことは誰の目から見ても明らかです。

 

加えて、これらの行為を行うことで、本来整理できたはずの借金が整理できなくなってしまう可能性もあります!

 

その場しのぎで当面の返済を乗り切れても、安心するのはほんの1ヶ月!翌月の支払い日には、より多額の返済が待ち受けています。

 

 

今後ずっと安心して眠れるように、まずは専門家にご相談ください。
 

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クレジットカードの現金化の罠②

『クレジットカードのショッピング枠を現金に!』

『簡単審査、即日融資!』

『●●%の高還元率!』

 

いわゆる「現金化業者」の宣伝文句です。平成22年6月以降、総量規制で追加融資が受けられなくなった人たちをターゲットにした商法ですが、この“現金化”にはいくつもの落とし穴が存在します。

 

目先の現金につられてついつい手を出してしまうと、さらなる泥沼にはまり込む可能性が非常に高いので要注意です!

 

現金化の仕組み

ショッピング枠の現金化自体は古くから存在する商法です。

だからといって社会的に認められている、というわけではありません!

従来の方法とは、

 

①現金化業者「○○(例:15万円相当)であれば10万円で買い取りますよ」

 

②利用者が○○をクレジットカードで(分割払いで)購入し、現金化業者に持ち込む

 

③現金化業者は商品と引き換えに10万円を渡す

 

これにより、利用者は15万円のショッピング枠を利用して10万円の現金を手に入れたことになります。たしかに、目の前の返済や支出に追われている人は、手軽に現金を手に入れることができます。

 

何が問題?

 

しかし、当然話はこれでは終わりません。ショッピング枠の現金化には様々な問題点があります。

 

<問題点①>大きな自己負担

 

①現金化業者「○○(例:15万円相当)であれば10万円で買い取りますよ」

 

②利用者が○○をクレジットカードで(分割払いで)購入し、現金化業者に持ち込む

 

③現金化業者は商品と引き換えに10万円を渡す

 

カード会社から利用者に15万円(+α)の請求が来る

 

当たり前ですが、本来は15万円するものを購入しているわけですから、カード会社からは15万円分の請求が来ます。上記の例では、目先の10万円を手に入れるために、15万円-10万円=5万円もの差額を自己負担しなければなりません。逆に言うと、この部分が現金化業者の『利ザヤ』になるわけです。

 

加えて、おそらく商品は分割払いやリボ払いで購入しているでしょうから、カード会社への金利手数料も含めると、さらに負担額は大きくなります。

 

目先の10万円のために、最終的には何十万円も払わなければならなくなります。

 

現金化業者は、すでに上記の利ザヤを稼いでいますから、その後に利用者がカード会社へ支払う金額がいくらになろうが、支払い方法でもめようが、もっと言えば支払いができなくなろうが、何の関係もないのです。

 

※次回に続く。

 

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クレジットカードの現金化の罠①

先日債務整理のご相談を頂いた方ですが、立替金(ショッピング)のご利用がかなりの額に上っていました。

 

理由を聞くと、他社への返済に充てるために、チケットなどをクレジットカードの分割払いで購入し、チケットセンターに売って現金にしたり、同様に家電製品を購入して、それを売却して現金にしたりでしのいできたとのこと。

 

最近では、総量規制が進み、貸金業者からの借入額が一定限度を超えた方は現金の借入れ(キャッシング)ができなかったり、収入によってはキャッシングの限度額が低く抑えられたりしています。

 

しかし、一方で、クレジットカードのショッピング枠は、キャッシングの限度額に比べて多額の設定になっていることが多く、これに目をつけた業者の、いわゆる「クレジットカードのショッピング枠を現金化」という手法も広まってきています。

 

この方法は、何も最近になって始まったわけではなく、実はかなり前から行われていたのですが、総量規制の広がりとともに、利用者が増えてきたという面もあると思います。

 

この方法は、実は非常に危険な方法で、債務整理にも影響が出るケースがあります(これらの行為を頻繁に行っている場合は、債務整理手続きができなくなる可能性があります)。

 

にもかかわらず、クレジットカード保有者の中には、今回の相談者の方のように、先々のことよりも目先の返済に追われ、ついこういった行為に手を出してしまう方が大勢います。

 

そのため、今後数回にわたって、改めてクレジットカードのショッピング枠の現金化の罠について解説させて頂きます。

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登記識別情報通知(新様式)

先日立会をした決済で、新しくなった登記識別情報通知を初めて開封しました。

 

登記識別情報は、つい最近までは目隠しシールでしたが、現在新しく発行されるものについては、下部を一部切り取ってから、袋とじ(?)のような部分を開封することで番号を確認するタイプになっています(なかなか口で説明するのは難しい形式です)。
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それだけではなく、識別情報通知のサイズも、従前のA4サイズから、なんともいえない中途半端なサイズに変わっています。そのため、従来の登記識別情報通知を入れていた封筒も、サイズの合ったものへと変更しなければなりません(従来のA4の識別情報通知用の封筒では、大きすぎて、確認用の窓の位置が合わないのです…)。
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新しく発行された識別情報は見たことがありましたが、実際に開封したのは初めてでしたので、念のため識別情報裏面に記載された開封方法を見ながら、慎重に開封しました。

 

以前までの目隠しシールタイプのものは、暗証番号自体がシールで糊付されていたため、上手くはがれなかったりして、暗証番号が読み取れないというケースがしばしばありました。新しいタイプのものは、暗証番号部分は糊付されていないため、破らないように慎重に開封すれば、暗証番号が読み取れないというケースはなさそうです。

 

とはいえ、旧権利書のような、重要な書類の様式をあまり頻繁に変更されるのはいかがなものかと思ってしまいます。しかもこんな中途半端なサイズに…

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司法書士年次研修

先日、司法書士の年次研修に参加してきました。

 

この研修は、現在は司法書士登録から5年ごとに行われており、該当する年次においては参加が義務付けられている研修です。研修内容は、司法書士倫理をメインに、本人確認のあり方や日々の業務において注意すべき点などを、基調講演の後に、モデルケースを用いた事例問題についてのグループディスカッションなどです。

 

設定される事例については、「誰が見ても一目了然」というものではなく、言ってみればセーフかアウトかのボーダーラインに近いような案件となっていますそのため、「いや、これぐらいなら認められるべきでしょう」「受任できなくはないが、○○という点に注意すべきだ」「そもそも受任を見送った方がいいのではないか」といった、様々な意見が出ます。

 

皆それぞれに、自分なりの根拠やポリシーをもって主張されますので、他の先生方の意見も非常に参考になります。

 

もちろん、法律上、倫理上、誰が見ても明らかにアウトな案件であれば受任すべきではないですが、現実の業務においてはなかなか微妙なケースというのは多々存在します。

 

そういった事案に出くわした際に、どういう根拠に基づいて受任をするのかしないのか、また、受任を見送る場合には、依頼者に対してきちんとその理由を説明できるのか(「なんとなく受けるべきじゃない気がするので受けません」では、依頼者は当然納得しません)、そのあたりを考えるのに、非常に有用な時間となりました。

 

また、後半では司法書士の業務広告や、インターネット上のブログ等での表現のあり方なども議題に挙がりました。

 

このブログでも、個人を特定できない範囲で、ご本人様の承諾を頂けたケースのみではありますが、実際の事案をデフォルメしてご紹介していることもあるので、多少耳が痛い部分もありましたが…

 

しかし、司法書士がどういう業務を行っているのか、法律的に認められた手続きとしてどういう事案があるのかなどを、ある程度一般市民に向けてわかりやすくアナウンスするのも、司法へのアクセシビリティー向上のために不可欠ではないかと思っています(一般の方は、抽象的な一般論に終始するよりも、実際に自分と似たケースの事案があり、それが解決可能であると分かれば、確実にそちらの方が理解度は上がり、手続きに積極的になるはずです)。

 

もちろん、明らかな誇大広告や事実に反する内容、100%を保証するかのような断定記事等は控えるべきと思いますが、そうではない範囲での広告、広報活動は認められてしかるべきだと思います。

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任意後見契約とは?

先日、後見制度の研修のために滋賀まで行ってきました。

 

時代の流れか、後見に関するご相談はとても増えてきていると思います。先日も、任意後見契約についてのご相談を頂きました。

 

任意後見契約とは、ご自身がまだ元気なうちに、将来的に認知症などで自身の判断能力が低下した際に、後見人となってくれる人と結んでおく契約です。実際に認知症が進んでしまい、判断能力が低下してしまった後に家庭裁判所に申し立てる、いわゆる法定後見とは若干異なります。

 

このあたりは一般の方には若干わかりにくく、誤解されている部分も多いため、任意後見契約のポイントについて書いていこうと思います。

 
元気なうちに契約することが必要
任意後見契約は、あくまでご本人様と後見人候補者との「契約」です。そのため、契約当事者であるご本人様、後見人候補者が、十分に契約内容を理解して合意することが必要です。例えば、ご本人様の認知症が進行してしまっていて、契約内容を十分にご理解いただけないような場合は、任意後見契約を結ぶことはできません。

 

契約は公正証書で
任意後見契約は必ず公正証書を作成しておこなうことが必要になります。公正証書作成の際には、公証役場で、ご本人様がしっかりと契約内容を理解しているかなどの確認がなされますので、ご本人様が契約内容をご理解できないような状況の場合は、公証人からストップがかかる可能性があります。

 
後見人は誰でもOK
任意後見契約の場合、後見人候補者は誰でも構いません。ご家族だけではなく、信頼できるご友人や専門家など、ご本人様が将来の財産管理を安心して任せられる人を自由に選ぶことができます。これに対し、家庭裁判所が関与する法定後見の場合、後見人候補者の希望を出すことはできますが、必ずしも候補者がそのまま選任されるとは限りません。

 
契約が発効するのは判断能力が低下してから
任意後見契約は、契約と同時に発効はしません。契約時はあくまで契約を結ぶだけで、将来的にご本人様の判断能力が低下したのちに、家庭裁判所に対して後見監督人の選任を申し立て、それによって効力が発生します。そのため、任意後見契約を結んだものの、最期までお元気で過ごされた場合には、任意後見契約が発効することはないということになります。

 
後見監督人の選任が必要
任意後見契約の場合、その発効に際して、家庭裁判所に申し立てをし、後見監督人を選任してもらう必要があります。この後見監督人とは、文字通り後見人を監督する立場にあり、定期的に後見人から後見業務の報告を受けるなど、いわば後見人のお目付け役のような存在です。後見人と親しい人が監督人になったのでは、お目付け役の意味がありませんから、後見監督人は好きに選ぶことはできず、家庭裁判所が選任します。ご家族の中で、「私がおばあちゃんの後見人になるから、あなたが監督人になってね」というのは不可能ということです。

 

 

任意後見契約の場合、契約を結んでから、実際にその契約が発効するまでには、年単位の時間がかかることも珍しくありません。また、最期まで判断能力が衰えることなく、はっきりとした意思能力をお持ちのままお亡くなりになるような場合(いわゆる「ピンピンコロリ」型)には、この契約は結果的には必要がなかった、ということもあり得ます。いわば、「転ばぬ先の杖」のような契約です。
1度契約を結んでも、ご本人様がお元気なうちは、内容を変更することも可能です。将来を安心して過ごすために、ぜひ1度ご検討されてはいかがでしょうか?

 

 

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被告代理人として出廷

先日、数年間の延滞の末、債権者から支払督促を申し立てられた事件の代理人として出廷してきました。

 

原告側は社内担当者の方が出廷してきていましたので、別室で司法委員を交えての話し合いとなりました。こちらとしては、請求自体には争う余地がないため、あとは被告の現状を説明した腕、なんとか分割払いに応じてもらうしかありません。

 

当初は、延滞が長期に及んでいること、その間債権者からの連絡にも一切応じず、借り手としての誠意が感じられなかったことなどを理由に、なかなかこちらの希望する案に応じてもらえませんでした。今回は本人の勤務先も知られているため、いざとなれば給与差押えが可能という点においても、こちらには不利な状況でした。
月々の返済額を上げることや、初回に頭金としてある程度まとまった金額を支払うことなどを主張されましたが、被告の現状を考えるといずれも現実的ではありません。こちらとしても、どう頑張っても無理な内容で和解するわけにもいきません。

 

本人の生活状況や家計の状況、勤務先での立場なども説明し(もちろん、本人からは、あらかじめ債権者に伝えても構わないという了承を得ています)、最終的にはこちらの希望通りに近い内容で合意してもらいました。さすがに遅延損害金まで全額カットというわけにはいきませんでしたが、この部分についても温情は見せてもらうことができました。
今回合意した内容は、裁判所での和解になりますので、今後万が一延滞等があれば、即差押えをされる可能性があります。そのあたりのことをご本人様には重々説明し、納得して頂きました。あとは、ご本人様が今度こそ遅れることなく支払っていってくれることを祈るのみです。
貸金業者も、本人が憎くて裁判をやっているわけではなく、こちらがある程度誠意を見せれば応じてくれる可能性はあると思います。ただ、その際にも、過去の事情次第(返済できないからと、一切の連絡を無視して放置するなど)では、交渉が難航するケースも少なくありません。

 

返済が苦しいと感じ始めたら、現実から目を背けるのではなく、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。

 

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業務終了後のお付き合い。

昨日は公正証書の作成のご依頼を頂いていた方から、食事のお誘いを頂いたので、新長田のあたりまで行ってきました。名物(?)の鉄人28号像の近くには屋台用のテントがたくさん並んでおり、夏祭りか何かかと聞くと、ここ1週間ぐらいずっとやっているとのこと(結局何のイベントかは不明でした)。

 

屋台らしく、焼き物系のお店が多かったようですが、炎天下の作業は本当に大変そうでした。夕方でもなかなか気温は下がらないので、熱中症には気を付けて作業してもらいたいものです。

 
この依頼者の方は、見守り契約等の正式な契約こそ結んではいませんが、身寄りがおらずお一人暮らしのため、今後も定期的にお顔を拝見しに行きたいと思います。ご本人様も、家にいてもずっとテレビを見るぐらいしかすることがないので、外の出て誰かと話をするのが良い気分転換になる、とのこと。

 

ご依頼が終了した後も、こうして声をかけてもらえるのは本当にありがたいことだと思います。幸い長田区はすぐ近くなので、今後も専門家ではないく友人の1人として(というと偉そうですが)お付き合いを継続していきたいものです。

 

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代位弁済と債権譲渡の消滅時効起算点

先日個人再生のご依頼を受けた方について、銀行からの債権調査票が届き始めました。この方は以前に事業をされていた関係で、消費者金融よりも銀行などの金融機関からの借入れが多く、引き直し計算では借金を減らすことができず、個人再生を選択しました。

 

さて、銀行からの融資(カードローンも含む)には、ほぼ例外なく保証会社がついています。このため、支払いが滞ったり、今回のように何らかの整理手続きに入った場合、銀行にその旨通知すると、保証会社が銀行に対して借金をいったん立て替えます。その後は、保証会社が銀行に代わって債権者となります。これを、「代位弁済による求償権の取得」と言います。

 

さて、この代位弁済が絡んだ場合、時効の起算点はいつになるのでしょうか?銀行に最後に支払った日?それとも、代位弁済が行われた日でしょうか?

 

答えは後者、「保証会社が代位弁済を行った日」から消滅時効は起算されます。銀行に最後に支払った日からではありません。もっとも、銀行は支払いが滞った場合には、比較的早期に保証会社に代位弁済を求めます。延滞を2年も3年も放置してから保証会社が代位弁済、というケースはまずあり得ません。そのため、銀行に最後に支払った日と、保証会社が代位弁済をした日は、長くても数ヶ月程度の差しかないことになります。

 

とはいえ、もしも、「銀行への最終支払い日からは5年経過しているが、代位弁済からはぎりぎりまだ5年経過していない」といったケースの場合は注意が必要です(下手に時効援用したところ、実はまだ時効期間が経過しておらず、反対に裁判をされたといったことになりかねません)。

 

これとよく似たケースで、支払を放置していたら、「債権譲渡」がなされる場合があります。債権譲渡の場合は、債権譲渡から5年ではなく、もとの債権者へ最後に支払ってから5年で時効となります。消費者金融やクレジット会社の場合は、無担保無保証で保証会社がついていないことがほとんどですので、債権回収業者に譲渡され、聞いたこともない会社から督促が来るというケースもあります。

 

保証会社による代位弁済と大きく異なるのは、延滞から数ヶ月程度で債権譲渡されることはまずない、という点です。数ヶ月どころか、数年経って忘れた頃に譲渡されるケースも良くあります。この場合は、たとえ譲渡から数ヶ月しか経っていなくても、もとの債権者に最後に支払ってから5年経過していれば、時効を援用できる可能性があります。

 

債権譲渡なのか代位弁済なのか、一般の方は書面を見ても良く分からないケースもあるかと思います。司法書士や弁護士であれば、書面を一目見ればそこらへんの判断はできると思いますので、お気軽にご相談下さい。

 

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