相続と不動産④相続した不動産を売却したい

ご実家に住まわれていたご両親が亡くなって、もとのご実家が空家になってしまうケースはよくあります。特に近年、このような空き家の問題が深刻化してきています。平成26年のデータによると、日本全国の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.5%となり、過去最高の数字です。

 

先日の記事にも書きましたが、住宅用の底地については、固定資産税が軽減されます。これはあくまで住宅が存在しているがゆえに受けられる軽減措置であって、建物を取り壊して更地にしてしまうと、軽減措置を受けることができなくなり、結果的に、固定資産税が実に6倍にも跳ね上がることになってしまいます。そのため、固定資産税の軽減を受け続けるために、空き家になっても取り壊しをせずに放置するケースが増えているのです。

 

しかし、放置していると、どんどん家は傷んでいきますし、近隣住民の迷惑にもなりかねません。また、減額されているとはいえ、誰も住まない家の固定資産税を支払い続けることにもなりますので、継続的な管理が難しいようであれば、相続を機に売却を考えられることも選択肢の一つでしょう。

 

ただし、相続した不動産の売却には、いくつか注意すべき点もあります。

 

まず、あらかじめ相続登記が必要になります。亡くなった方の名義のままでは売却することができません。相続登記に際しては、相続人の調査や話し合い(遺産分割協議)、相続人全員の実印などが必要になる場合が多く、相続人同士が遠方に住んでいる場合などは、なかなか話し合いをする機会がないということもあって、手続きが進みにくくなってしまいます。

 

また、売却を検討されるということは、そこに住む人がいない(=相続人の自宅が遠方である)ケースが多いため、一体どこの不動産業者に依頼すればいいのかもわかりません。

 

さらに、売却して得られた利益には、譲渡所得税がかかってくるケースが多いですから、そのための確定申告も必要になります。この際、 相続人が所有者として居住の用に供したことがある建物の譲渡については、3000万円の居住用不動産の譲渡に関する特別控除を受けられる可能性もあるため、どなた名義に変更してから売却するかは重要なポイントになります。もちろん、これ以外にも、前回からお話ししている相続税の問題や、場合によっては特例措置を適用することも検討すべきかもしれません。

 

このように、相続に際して、不動産が対象となるケースは非常に多いのですが、その中で検討すべき事項は多岐にわたります。当事務所では、安心して売却を任せられる不動産業者や、相続税の申告等にも長けた税理士の先生のサポートも受けながら、依頼者の方が満足できるサービスをご提案させて頂きます。すでに相続が発生したが、何をどうしていいか分からない、将来の相続に備えて話を聞いてほしいといった方も、安心してご相談下さい。

 

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相続と不動産③相続不動産の評価を減らす方法(自宅)

相続財産に、自宅の土地が含まれている場合、一定の条件を満たせば、土地の相続税評価額を、なんと最大で80%引き下げることが可能です。

これは、「小規模宅地等の特例」という制度で、「特定居住用宅地等」に該当した場合、330㎡までが現在の対象になるというもので、その減税率は80%と、非常に効果の高いものです。

(例)

路線価=20万円、土地の広さ=200㎡の居住用土地の場合

通常の相続税評価額・・・20万円×200㎡=4000万円

↓特例を利用すると…

4000万円×80%=3200万円 が減額され、評価額は

4000万円-3200万円=800万円 となります。

 

いかに特例の効果が大きいかお分かりになるかと思います。減税額が非常に大きいため、この制度を利用することで、トータルとして相続税の対象ではなくなるというケースも多いのではないでしょうか?

 

では、この制度が利用できる要件をみていきましょう。

居住用の宅地であること

対象は、被相続人(亡くなった方)が直前まで住んでいた自宅の底地(=居住用宅地)です。

一定の要件に該当する親族が取得すること

以下のいずれかに該当すればOKです。

・宅地を取得する人が、配偶者である。

・宅地を取得する人が、同居の親族で、継続して保有かつ居住すること。

・宅地を取得する人が、生計を一にする親族で、継続して保有かつ居住すること。

・配偶者または同居の親族がいない場合、宅地を取得する人が、相続開始前3年以内に自分または配偶者が保有する家屋に居住したことがない親族で、継続して保有すること。

 

一見するとややこしいようですが、要するに、

被相続人が居住していた自宅を、親族が相続して引き続き居住する場合

において、利用できる可能性が高い制度であるということです。どうですか?こういわれると、比較的当てはまるケースは多いように思いませんか?

 

逆に考えると、(あまりないケースかもしれませんが)その家に居住しない相続人の名義にしてしまった場合、この特例は利用することができないということになります。

 

上記の通り、非常に利用価値の高い特例であるため、1つの考え方としては、この特例を念頭に置いて、問題なく特例が利用できるように相続させるための遺言をあらかじめ作成しておくということも、1つの相続税対策といえるかもしれません。

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相続と不動産②相続対象不動産の評価について

ホームページの記事でも紹介したように、不動産にはいくつもの「価格」があると言われます。

このうち、不動産(土地)に関する相続税を算出する際に用いられるのは原則として路線価です。

 

※路線価とは・・・基本的に、自分の不動産(土地)の目の前の道路には値段がつけられており(1㎡あたり○万円、といった感じ)、この価格は国税庁の路線価図で確認できます。この単価×土地の広さが、土地の相続税算出の際の評価額となります。

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(例)路線価=1㎡10万円、土地の広さ=200㎡

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→ 10万円×200=2000万円

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ただし、地方によっては、路線価が設定されていない地域もあります。

路線価が設定されていない地域においては、固定資産評価額に、各市区町村が定める評価倍率(宅地の場合、おおむね1.1倍とする地域が多いようです。)をかけたものを評価額とします。

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なお、路線価はあくまで土地を評価する際の基準なので、建物については固定資産評価額がそのまま評価額となります。建物については、消耗資産であるため、経年劣化とともに評価額は下がっていくことがほとんどですが、土地については、建物のように劣化するものではないため、必ずしも評価額は下がっていくとは限りません。むしろ、地価の上昇等により、評価額が上昇することもあり得ます。そのため、ある程度の広さの土地を所有している場合は、資産評価として決して無視できないような価格であることも多々あります。

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固定資産税は、評価額の1.4%を1年間4期分納が原則ですが、小規模住宅用地(200㎡までの住宅底地)については、6分の1とする軽減措置があるため、毎年の固定資産税はそこまで高額でなくても、評価額自体は思いのほか高い、という可能性もあります。

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なお、路線価にしろ固定資産評価額にしろ、実税価格よりも低い額となることがほとんどなので、一般的には、現金よりも不動産の方が相続税対策になる、と言われているのはこのためです。

 

※現金(預貯金)で2000万円所持したまま亡くなると、相続財産としての評価は丸々2000万円ですが、2000万円で不動産を購入していれば、その不動産の相続財産としての評価はそれよりも低い(例:1400万円)ことがほとんどなので、トータルとしての相続財産評価額を低く抑えることができます。

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路線価と固定資産評価額は、比較的簡単に調べることが可能です。

ご自身やご家族の相続に際して、相続税の対象となりそうなのか否かの目安にもなりますので、1度調べてみてはいかがでしょうか?

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※路線価と固定資産評価額を基準とするのは、あくまで相続税算出の際であって、遺産分割に際しての評価額は時価を基準とすることが多いので注意してください。

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時効期間経過後の裁判

以前債務整理の手続きをした依頼者から、「債権回収業者から訴訟を起こされたので相談したい」と連絡がありました。

話を聞くと、もともとの債権者は、ポケットバンクの名称で知られていた三洋信販株式会社で、提訴してきたのはアビリオ債権回収株式会社という会社でした。

これらの会社は、過去数回にわたって合併や社名変更を行っており、依頼者も、アビリオなどという名前には聞き覚えがなく、当初は何の件だかわかっていなかったようです。

<旧三洋信販系の経緯>
※三洋信販株式会社
↓吸収合併
プロミス株式会社
↓商号変更
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 ←今ココ

※三洋信販株式会社
↓債権譲渡
パル債権回収株式会社
↓吸収合併
三洋信販債権回収株式会社
↓商号変更
アビリオ債権回収株式会社 ← 今ココ
訴状を確認したところ、

・契約日:平成12年●月●日
最終入金日:平成15年●月●日
・パル債権回収株式会社への債権譲渡日:平成22年●月●日
・上記債権譲渡通知日:平成22年●月●日

とありました。

 

<ポイント①>消滅時効の起算点はいつか?
貸金業者からの借入金についての消滅時効は、商法第522条の規定により5年です。
上記のように、途中で債権譲渡がなされた場合であっても、原則的に、消滅時効の起算日はあくまで最終入金日となります。そのため、本件については、最終入金日から約12年が経過していることになります。

 

<ポイント②>時効中断事由がないか?
最終入金日から5年以内もしくは5年経過後であって、消滅時効を援用する前に、少しでもお金を支払うとか(債務の弁済)、電話などで借り入れの事実を認めるとか(債務の承認)、あるいは、裁判を起こされて判決を取られるとか(債務名義の取得)している場合は、時効期間はその時点から再度カウントされることになります。
今回のケースでは、最終入金日が平成15年であることは明らかですから、それ以後の弁済はありません。その他の時効中断事由も見受けられませんでした。

 

<ポイント③>債権譲渡は時効を中断させるか?
貸付債権が譲渡された場合でも、その旨の通知がされただけの場合は、それ以前に完成していた消滅時効を援用することが可能です。
※今回のケースでは、平成22年の債権譲渡の時点で、すでに最終入金日から5年以上経過しているため、消滅時効は完成していたといえます。
ただし、債権譲渡の際に、単なる通知のみではなく、「異議をとどめない承諾」をしている場合、その時点で仮に消滅時効が完成していたとしても、その主張(抗弁といいます)を放棄してしまうことになりかねません。
異議をとどめない承諾とは、その名の通り、「あなたに債権が移転することについて、私は何の文句もありませんよ。」という積極的な意思表示です。この承諾は、債権譲渡の時点で生じていた抗弁(すでに弁済しているだとか、時効にかかっているはずだとか、相殺だとかという、言ってみれば、借主側からの主張。)を放棄してしまうことになるため、注意が必要です。
今回のケースでは、業者からの債権譲渡の一方的な通知のみで、依頼者がそれに異議をとどめない承諾をしたという事情はなかったため、問題なく時効を援用することができました。
結果的に、裁判は、業者側の請求を棄却するという判決で終了したため、依頼者の支払い義務はないことがはっきりしました。一切支払う必要がないということになり、依頼者の方も一安心されていました。

 

現在、様々な業者による、「消滅時効にかかっている債権」についての請求、督促、裁判が増えてきています。
消滅時効は、5年の経過によって自動的に効力が生じるものではなく、「5年経過+時効の援用(相手方への通知)」をもって初めて効力をもちます。そのため、時効の援用がなされない限り、5年経っていようが10年経っていようが、業者側からの請求、督促などは、違法とまでは言えません。

 

また、今回のように、時効にかかっている債権について訴訟を起こされた場合、こちらからきちんと「時効なので支払い義務はない」という旨を伝えなければ、裁判には負けてしまいます。裁判所は、時効にかかっていることが明らかであっても、それをきちんと主張しなければ、認めてはくれないので注意が必要です。

 

中には、裁判を起こす前に、脅しのような督促によって1000円だけでも支払いをさせたり(債務の弁済)、借り入れの事実を認めさせるような電話内容を録音していたりして(債務の承認)、時効援用をできなくさせてから裁判をしてくるような業者もあります。
対応次第では、支払いをしていなかった期間の利息も含めて全額の支払い義務が生じる危険性もありますので、聞いたこともない業者からの督促や、相当昔の借金についての裁判などを起こされた場合は、うかつに返答などはせずに、すぐに専門家に相談されることをお勧めします。

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相続と不動産①相続税控除の削減

新聞やニュースでも報道されていたため、ご存知の方も多いかと思いますが、平成27年1月1日以降の相続に関しては、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。
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※平成26年12月31日以前の相続
相続財産の額が、5000万円+(法定相続人の数×1000万円)を超えた場合のみ、相続税の対象。
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   ↓
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 平成27年1月1日以降の相続
相続財産の額が、3000万円+(法定相続人の数×600万円)超えてしまうと、相続税の対象。
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なんと、実に40%も控除額が削減されています。相続税の控除額を削減することで、高齢者の資産流通性を高める(「相続まで財産持っていたって、税金たくさんかかりますよ」ということで、生前の資産流通、移転を促す)ことが狙いと言われていますが、これにより、今まで相続税の対象ではなかった方々も、決して他人事とは言えなくなってきています。
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(例)相続財産:不動産4000万円+預貯金2000万円=6000万円
相続人:妻と子ども2人の計3人 というケース
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平成26年12月31日以前なら・・・
相続税控除額=5000万円+(1000万円×3)=8000万円 > 6000万円 のため、相続税はかからない。
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平成27年1月1日以降は・・・
相続税控除額=3000万円+(600万円×3)=4800万円 < 6000万円のため、相続税がかかる。
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とった具合です。
「相続税の心配なんか、一部の金持ちだけがすること 」とは、あながち言えなくなってきています。
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また、相続財産の中でも、特にその処理が難しいと言われるのが不動産です。
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単価が高く、必ずしも換価が容易ではない(売却にも手間暇、お金がかかる)上に、うかつに名義を変更することにより、多額の税金がかかってくる可能性があるため、その扱いは慎重に検討しなければなりません。
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相続と不動産についての論点は非常に複雑になりますので、次回以降、テーマを絞ってお伝えしたいと思います。
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次回は「相続対象不動産の評価について」です。
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神戸RunRunリレーマラソン

5月31日の日曜日に、神戸みなとのもり公園で行われた、神戸RunRunリレーマラソンに参加してきました。

 

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学生時代の友人やその仕事仲間、水泳仲間たち10人での参加でしたが、2日前の自転車の練習で腰をかなり痛めてしまい、当日の朝はベッドから起き上がるのも一苦労という状態…行きつけの整骨院の先生からはドクターストップをかけられていましたが、駅伝形式なので、走らなければそれだけ他の人の負担が増えてしまうため、どうにか走ってきました。

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男女混合の寄せ集め(失礼)チームでしたが、なんとか総合10位に入ることができました。
結局タスキをもらって走っている間は、腰の痛みよりも、周りに負けたくないという思いだけで走っていたような…(苦笑)
大人になってもこういうイベントに参加してくれる仲間がいることに感謝しながら、しばらくは静養しようと思います…